2013/08/06

マークファーバー、政府の権限拡大は個人の責任感を損なう

Much of public policy these days seems designed to eliminate personal responsibility.

マークファーバーはスイス出身の投資家で、毎月レポートを発行しています。基本的には弱気筋ですがきちんと理路が通っていますし、ポジションを明言するのでとても読んでいて楽しいです。

レポートは前半部分が幅広い統計データを用いながら現在彼が考えているテーマについて、後半は具体的なマーケットの見通しとなっています。

毎回色々考えさせらる事が多いのですが、印刷したレポートというのはなかなか後で振り返って読むこともないので、個人的なまとめの意味も兼ねて紹介したいと思います。

今月の主題は政府の介入が結果的に個人の責任を損なうというもの。

介入の例として政府の肥満防止の声とは裏腹に80年代から増加した肥満(35%)・糖尿病(14%)、貧困の問題、それから金融緩和を続けるFRBなどを例にあげています。

NYのブルームバーグ市長がソーダやスナック規制を行いましたが、ああいった税や規制によって個人の行動はかなり操作できるというのは確かにそうだなと。FRBや政府の市場への介入によって企業や個人の資源配分が歪められるのも同様ですね。

禁酒法を例に取るまでもなく、こういった規制やルールが多くなると個人はその抜け道を探したり悪用したりとなるのでかえってコストが高くなるケースもあり得ます。日本の生活保護も同じような問題でしょう。

それから2007年からの世帯収入(中央値)は54000ドルから50000ドルへ減少し、また純資産も特に35歳から44歳の世帯では92400ドルから42100ドルへと半分以下になっているのが示されており、FRBの緩和策は明らかに国民生活を押し下げているのが解ります。

アベノミクスが日本でも始まりましたが、少なくともアメリカでは所得の再分配は不均衡に行われた事実は重視しておいた方がよいかもしれません。

政府の権限というものいつの間にか拡大しているものですが、それにより個人の選択が大きく影響を及ぼされいる事実を自覚しておいた方がよさそうです。

世の中の変化の多くはゆっくりしていてなかなか気付かない事が多いので、こうやって定点的に長期的な視点からのレポートを読めるようにしておくのはなかなか面白いです。英語もスイス人が書いたものなので構文があっさりしているのも個人的にはレベルが丁度良いです。


**TCI、EADSはDassault株を売却すべき

シナジー効果もなく資金も上手く使えていないとして、アクテイビストのTCIがEADS(European Aeronautic Defence and Space Company)に40億ユーロのDassult株を売却するように促した。Dassaultはフランスにとって重要な防衛企業でありラファール戦闘機を作成している。フランス政府はEADSの12%の株式を所有している。

**金ヘッジに走る産金会社

AngloGold Ashantiなどをはじめ大中の産金会社が再び金価格下落への対策として先物市場で、ヘッジをするようになった。特にこの3-6月のヘッジは過去5年でも最も高いレベルになり、150万から200万トンがヘッジされているようだ。

**丸紅、アイルランドの再生可能エネルギー会社に出資

Mainstream Renewwable社の25%の株式を1億ユーロで取得。同社は世界で40箇所で風力、太陽エネルギー発電を行っている。丸紅は今後もオフショア風力発電が世界中で進むと見ている。

**日経平均は208円安の14258円

円高の影響か。そろそろ取引の少ない夏相場になりそうな雰囲気。アメリカは大きなイベントをそつなく通過した割には値動きが悪い。なんとなく変な気もする。