2014/01/31
大前家の子育て
大前研一が52歳の1998年、二人の息子はそれぞれ21歳と16歳、の時に出版された本。手元にあるのは2012年のもので巻頭のプロローグと巻末の二人の息子のインタビューが掲載されている。
長男は大学を中退しデジタルハリウッドを卒業し45人を抱える企業を経営。次男はプログラミングをすると言い、日本の高校を中退し米国に留学。こちらもまた起業となっているからなかなかすごい。
要約すれば4つの責任(自分、家庭、会社、国)を守っていれば、あとは好きな事をやれば良いということになる。
巻末の息子のインタビューにあるとおり、実際にはそれぞれの局面で激しいやりとりがあったようだが、それでも基本方針は守っていたようだ。それは結果が証明している。
まだ子供を持ったことはないので解らないが、責任を取れるなら好きなようにやって良いというのは口でいうほど簡単なことでないだろうというのは想像がつく。そこを放し飼いにできるか否かは自らへの信頼と勇気、配偶者との関係が良好であることなどがあるのだろう。
子育て以外にも98年当時に彼が考えていたことが現在になって的外れになっていないこともさすがといった感じにさせられた。
頭の良い人が考えて実行しそれをまとめて、さらに子供のフィードバックまで載っているとなれば読まない手はない。時間としはては1時間45分程度だ。
ちなみに自分を振り返っても基本的な原則、大学は出ろ、学校は休むな、人様に迷惑かけるな、という簡潔な方針だったので同じようなものだったかもしれない。
大学出たら好きに生きて良いということだったので本当に好きに生きてしまったが、それはひょっとしたら想定外かもしれない。いずれにしても基本原則を父親が示しておくのは大事なのだろう(もちろん親もそれを順守しているのが大前提)
だとするともし自分に子ができたらその原則を体現しなくてはならない。結構大変そうだ。
以下まとめ。
教育とは、世界のどこに放り出せれても生きている。裸一貫になっても自分でメシを食っていける。そうした生存力を子供に身につけさせること。父親が母親に教育を任せ、母親が学校や塾にアウトソースすることはやめる。
子供の将来に役に立つとか、その分野に才能があるかとかはあまり気にしない。大事なのは子供がなぜそれに興味を持っているか。たとえ才能がなくても溢れる情熱があれば破壊力や持続力が生まれる。
食事中はテレビを消して家族で会話。毎回テーマを決めて会話をし、知識が足りなければ宿題にする。知識がないことはまったく悪いことではない。そういう場合はレクチャーしたあと、おまえはどう思う?と意見を聞く。こうすれば家族全員が議論に参加できる。また話をしながらあれこれ本音で話し合うのは、家族の理解が深まり、絆がより太くなるという効能もある。
小遣いを制はとらずに、親よりすぐれた能力が出てきたらそれを早く発見、利権化し子供の仕事にする。子供は親に一目置かれているという気持ちが生じる。子供に負ける快感がある。
学校はあくまで集団行動の実践の場であってその他の教育効果を求めるのは無駄である。その集団体験もあくまで同世代であることを認識しておく。その点においてサマー・キャンプは年齢差があり良い体験になる。
子供に教えるべき四つの責任は、『自分の人生に対する責任』、『家庭を持ったら家庭に対する責任』、『会社に勤めたら会社に対する責任』、『日本人として国に対する責任』。これらの責任については小さい頃から厳しく叩き込む。
愛情の深さは時間で測れる。家族との時間は神聖視しスケジュールを立てるときに最初に決めてしまう。
家族で何か問題が起きた場合はそれぞれがなにをやりたいのか、まず聞いてみる。
子供は無理に押さえつけても駄目。家族は対等でみんな自分と同じように自我が強いと思うこと。
知識偏重の教育は自分さえ良い成績をとれば、という考えを増長し日本人から公徳心を失わせた。知識より大切なものがあることを教育は教えていない。
ゲームは学校で学べない実践的な思考パターンを提示してくれる点で優れている。トレードオフを学べる。
偏差値は子供のころから自分の価値を権威として申し渡すがこれはいけない。人間の才能はいつどこで花咲くかわらかない。
トヨタ、日産、東芝、日立は良い会社だが、常に出世出世で、定年退職するまで長い休みは取れない。
だいたい夫婦喧嘩の半分以上は子供のこと、親子喧嘩の9割以上は学校の成績のことと言われている。親と話せば勉強したの?成績は?では子供は話さなくなる。子供は親のいう当たり前ではうまくいかないことを感じている。
子供の考え方に賛成できなければ大人としての考え方を述べる。それでも子供が自分の考えを主張すれば、今度は子供に『責任』が移る。その責任を自分でとるから自分の道を歩みたいと子供が言えば親はそれを祝福するべきだ。
責任とは言い換えれば他者を思いやること。これをきちんと理解していればあとは何をやるか自分で決めろというのが教育方針。そして失敗してもできることに関しては助けると言う。
対話こそが家庭内の唯一の安全装置。親子の対話が継続していることが大切だ。
夫と妻はフェアな関係である。妻が遅くなっても彼女にも都合があるし友人も大切だ。そのような時は自炊をする。妻が友達となにかやってHave a good timeならそれで良い。
会社は変えられないが、家庭は変えることができるし、個人の価値観がもっともはっきり反映される。
マッキンゼーは世界に支社があったがその半分は離婚していた。世界中どこでも生活にゆとりができると離婚が増える。いろいろなケースをみて思うのは、当事者に与えられたものを良くしていこうという努力が足りないというのが実感だ。夫婦間の間で意見が一致していなければ、子供の問題を解決するベースはないのではないか。
子供が母親の悪口を言うことは、自分が悪口を言われたと思って絶対に許すべきではない。
社会へ出た時は安定した家庭があるからリスクも取れるようになる。安定した自分の支えとなるような家庭をつくるには、時間の投資をしなければならない。よく考えて時間を費やし、自分の理想と思う家庭をつくりあげる。それは自分にとっての事業でもある。
若い世代と情報をやりとりできるのは子供がいるおかげ。若い人が近くにいないといま若者の間でなにが起こっているのか、若者たちがなにを読んでいるのか、なぜこういう行動をとるのか解らなくなる。必然的に世の中の流れから取り残される。子供がいない家庭はここに気をつける。
一人の人間として常識的にやってはいけないことや、人様に迷惑をかえるようなことをしたときはこっぴどく叱る。
子供の人生や生き方といった重要な部分では、最終的にはこうしろと命令したり、自分の成功体験や考え方を押し付けない。
あらかじめレールを敷いて子供をその上に乗せようという発想ではなく、子供が決めたベクトルの方向に新しくレールをどんどん敷く。
**エマージングマーケット通貨
トルコリラは落ち着く。ロシア、ハンガリー、南アフリカは続行し対策を求められる。
**Fedは資産買入を100億ドル縮小
月間650億ドルへ。バーナンキ最後のミーティング。
**米欧のエネルギーコスト差は少なくとも20年続く
米のシェルーガス革命と欧の原発減とグリーンエネルギー推進により。産業界から不満の声
**プーチン ウクライナの新政権待ち
150億ドルの救済策はそれまで様子見。
**弱まる中国人の絆
農村から都市に出ている労働者は2億4500万人になるが、旧正月でも実家に帰らない人が増えてきている。
**東アフリカに緊張
アルカイダによるケニア爆破が連鎖する可能性に懸念
**Fiat Chrysler イタリアとの関係を薄める
ロゴからFiatの名前を削る。課税は英国になる。
**AlibabaとTencentがタクシーアプリで火花
2013年のインターネット支払いは4倍の214億ドル。AlibabaはPayPal風の決済システムを導入予定。
**年金基金は株から債券へ
2013年とは打って変って。金利が上がるタイミングでのシフト。1994年の再来か否か。