2014/06/17

ガンダムの家族論(1) 家族は偶然の産物 鍛錬の場所


ガンダムの原作者、富野由悠季による家族についての本。圧倒的なエネルギーを持つ作品群を産み出してきた作者の現在の考え方に触れることができる。

親が子に望むのは、健康で一人前になること、に限られると改めて提示されなるほどと。生まれてくる瞬間の脆弱さを見ていれば当然それが第一にくるのだろうなと。明石家さんまの、いきているだけで丸儲け、なんかもそれに連なる言葉で、そこがあくまでもベース、富野風にいえばリアリティであって、逆に言えば我々が普段どんだけフィクションの世界で生きているのかというのを思い知らせてくれる。

構成要素が異質なものである方が堅牢という考え方も納得できる。

線をたくさん引いた本になったので3回に分けてまとめてみる。

■家族は偶然の産物

子供は親を選べないというが、親も『産む』という選択できても、生まれてくる子供がどんな子供かは選択できない。子供と親の相性は、生まれてからでないとわからない。そして夫婦もまた厳然として他人なのである。

つまり家族とはお互いに愛があるとかないとかの話以前に、ある種の偶然で一つ屋根の下に住むようになったグループということができる。

人間は一人だけで暮らしていると、病んだりした時に、経済的に立ち行かなくなってしまう。そのために共同生活という手段でリスクを減らす。そしてもう一つ、家族という血族、ひいては血族の再生産もまたひとつの目的となる。

家族は人間が生き延び、種族を再生産するための共同作業の場であり、そして共同作業の場を維持していくための潤滑油や動機として『愛情』が大きな役割を果たしていく。

家族が『安らぎの場である』とはどういう状態なのか。それは家庭内の状態と関係に、なんのプレッシャーもないということだ。

好きこそものの上手になれとは真実だが、一面の真実に過ぎない。嫌いなもの、異質なもの、にわかには受け入れがたいものをいったん呑みこむことで、人は変化することができる。

どうも我々は自分が望んだとおりに物事が進むのが当然、という現代の文明に慣れすぎてしまったようだ。そのため、プラスとマイナスの価値観を並立させて走らせるような厚みを失ってしまったのではないかと思える。

やはりある程度の緊張状態にあることが、人に耐久力を身に付けさせるのだ。

疑似家族を人工的に感じるのは、そこに『肌(気)の合う人間だえで集まっている』という匂いがするからで、そこには恋愛結婚と同種の問題があるように思う。

家族とは他人の偶然の集まりだからこそ意味があると考える。肌が合うという理由で集まっているのでは、集団はどんどん内向きしていくだけだろう。

同じ性質を有した人の集まりというのは、安定的に見えて実はすごく不安定で、いったん亀裂が入ると、それまでが過剰な共通の感覚で維持されてきただけに、取り返しのつかないことになってしまう。これは原理主義の破綻に似ている。

今の家族が失ってしまったのは、葛藤を生み出し耐久力を養う場となりうるリアリティだ。

安らぎの場所は失敗は許されないが、修行の場であれば許される。目の前に現実の問題があれば、人もまた、徹底的にリアリズムで対応していかなくてはならない。人はそこで鍛えられる。それが家族という場所なのである。

家族は単に親子間の関係ではなく、過去から連綿と続いて来た文化を受け渡していく場所、文化継承の場所である。

いわゆる標準モデル世帯ですら減少しているいま、家族が過去から続く大きな文化の大河にあるという意識は持ちにくくなっている。

風土があり、その風土の中で生きていくための術があり、そしてそこに定住していくことで何代もの血族が紡がれ、文化、気質、というものが育まれていく。

■子育て

親が子供に願うことは『健康で一人前に育って欲しい』それ以外にはない。ここで言う一人前は自活できるようになるという意味だ。

親は忘れがちだが、子供は親とは違う時代を生きている。

子供たちが未来を生き延びていくためには、親から得たなまじっかの知識などは役に立たない。不安定化、流動化する時代に対応するセンス、勘のようなものを養っていくしかない。

親にできるのは、現代が親である自分もどう生きればいいかわからない複雑な時代であることをはっきり告げること。

『今は訳がわからない時代だけど、その次をみつけなくちゃならないのは、お前たちの世代だ。その次をみつけるための勉強をしなさい』

『俺はこの程度の才覚しかなかったから、稼ぎだってたいしたことないし、お母さんと家庭を作ってもせいぜいこの程度だった。この刻苦がいやだったらここから抜け出す努力をしなさい』

このように赤裸々に大人の生きている姿を見せることが、子供に緊張感を与えることになる。

男の子とうまく関係を結べるのは、壁となって男の子と切磋琢磨できるタイプか逆に壁にもなんにもならないお馬鹿な父親のどちらかだと思う。一番良くないのは賢しい(さかしい)父親で、僕はまさにそこに当てはまる。賢しい父親は子供を追い詰めてしまうので、子供がまっすぐに育つには障害になると思う。

家族のルールは『いまの流行だけを信じるな』ということであった。もちろん子供とは本来的に流行が好きな動物だ。

基本的な感性、知覚が形成される6、7歳ぐらいまでは、一方的といえども親の方が、かくあるべし、とルールを定めるのは大事な事だと思う。その後の、基本の感性や知覚が形成されてからなら、流行に接しても子供もそれに溺れることなく、適切な距離で付き合えるようになると思えるからだ。

現在の科学技術に則って短いスパンで予想した未来像はたいがい裏切られる。未来の姿を見るには、極端に発想を飛ばすしかない。

百年前には百年前の悩みあったし、三百年後には三百年後の家族の悩みがあるだろう。だから悩みがあるからだといって心配する必要はない。人はそうやって大昔から生きてきた。

**スペイン国王が退位 息子が継承へ

今回の退位の背景にはEU内での第三勢力の躍進の存在がある。現在の2大政党は長年に渡ってスペイン王室を支持してきたが、次の選挙では議席を減らすことが確実視されている。議席を増やすとされているソーシャリストたちの声が大きくなる前に、王位を継承させてしまうことが今回の退位に繋がった。

**フロンティアマーケット

カンボジア証券取引所は3年前に韓国の助けを借りて開かれた。ただし上場銘柄はPhnom Penh Water Supply Authorityの1社のみ。ミャンマーも軍事政権から移行し2011年に日本と組んで証券取引所を開設した。2000年に開設し800銘柄を超える銘柄があるベトナムは成功事例になっている。いずれにしても海外資金をひきつけるっための施策である。カンボジアは現在最も小さな証券取引所であるが、ほかには3銘柄のモザンビーク、同じく3銘柄のラオス、87000人のセイシェルなどがある。