2014/07/23

家族難民 25年後は年間20万人以上が孤立死する


この分野で良く名前をみかける山田昌弘の著書になる。副題は『生涯未婚率25%社会の衝撃』で門外漢にとっては知らない事実が多かった。

20万という孤立死の数も結構驚いたが、中年のパラサイトシングルの現状というものにもちょっとぞっとするものがあった。年齢や東京に住んでいるから解りにくいが、実際のところは世帯収入が低く、しかもその中で親の年金が占める割合が大きいところもあるのは想像に難くない。そんな状態で親と死別したら詰んでしまう。

当たり前だが自分も加齢していくわけで、その時の実際のところの風景を見ることができた。なかなか過酷な時代である。

■3つのシングル

シングルを来歴からみると3つに分けられる。未婚の若年シングル、離婚による中年シングル、離別による高齢シングルである。現在はシングル期間の長さが長くなっているのも特徴のひとつ。

シングルの増加の社会的問題点は、少子化と社会的な排除である。シングルは社会的に疎外され孤立しやすいことが知られている。

■いまから25年後は少なくとも年間20万人以上が孤立死する

2010年の生涯未婚率(50歳の未婚率)は男性20%女性10%だが、将来的には男性が30%近く女性でも22%になると考えられている。いまから25年後は少なくとも20万人以上が孤立死する。

なお男女の数字の差は再婚率の差である。つまり女性は初婚で再婚の男性と結婚する分の違い。

パラサイトシングルの面倒を見れない親が増加する

親同居シングルが増えたのは1980年代だが、現在は中年世代(親の年金頼りに同居)でも増えている。また海外でも同様の現象は見られ、独立心旺盛な米国でさえそうである。日本はパラサイトシングル先進国だ。

さらに貧困化する若者の面倒をみれない親も増えている。原因は親が非正雇用で低収入、親のリストラ、親の離婚、家業がダメになる等である。

■中年シングルと高齢シングル

中年シングルに現在起きつつあるのは親の死である。親の死を隠して年金を貰い続けている事件は始まったばかり。

また高齢者の万引きが増えているが、これは子供がいないでシングル化すると精神的にもすさんで規範意識が緩むことの表れである。家族の存在は高齢者にとって一種の抑止力として働く。

■社会保障制度は標準家族モデルが前提

シングルはここから漏れアンダークラス化が助長される。多様な生き方に適した個人単位にするべき。現状では家族格差が進み、その再生産が行われてしまう。

■疑似家族はいざという時に頼れない

ペットやシェアハウスなどの疑似家族はいざという時には頼りにならない。大学生へのアンケートでは病気などでお金を出す範囲は2等親程度。一部の例外を一般化する論調には無理がある。シェアハウスの人間関係は流動的だ。

■1980年代まではシングルは家族に包摂されていたが現在はその前提が崩れた

昔のシングルは大家族の成員としての居場所や、家業の担い手としての居場所があった。現代ではこの前提が崩れている。