**原油価格はどこまで下落するのか
米国では1ガロン(3.78リットル)あたり3ドルを切った。これは6月に比べて70セント安く1年あたりで家計は500ドルの購買力を得たことになる。
世界的に言えば産油国から消費国に1年当たりに4000億ドル移る。また去年のOPEC全体での原油輸出額は1.11兆ドルであり、10ドルの価格下落は世界のGDPの0.13%~0.18%に相当する。
以下にそれぞれの原油価格の持つ意味を並べる。国名だけの場合は国家予算を均衡させるために必要な額を指す。
160ドル ベネズエラ
130ドル イラン
115ドル 米国で最もハイコストのシェールガスの採算ライン
114ドル イラク
110ドル ロシア
100ドル カナダの新しいサンドオイルの採算ライン
95ドル これ以下だと航空会社の採算が良くなる
90ドル サウジアラビア
80ドル ハイコストの海中原油の採算ライン アンゴラ、ブラジル、ノルウェー、英国など
60ドル 米国のシェールガス会社の平均的な採算ライン
50ドル クウェート
40ドル 米国で最もローコストのシェールガスの採算ライン
**英国で増えるボランティア警官
英国では緊縮財政により警官の人員が減らされた。この穴を埋めているのがボランティアによる警官で現在の政権下で44%増加した。
彼らは本物の警官と同じ服装を与えられ警棒も持っている。参加するには月に最低16時間働けることが条件となるが、平均すると25時間以上働いている。
**中国、15年以内には世界で最もキリスト教信者が多い国に
1987年に南京で開設された聖書印刷所ではこれまでに10の中国語で6570万、70の言語で90カ国向けに5930万の印刷を行っている。
宗派としては政府が仕切るものが3つあり、バチカンや法皇との関係も理解していない者も多いが、政府が違法としている地下教会に通っているものも多くいるという。
**ナイジェリア通貨nairaも対ドルで過去最安値
原油価格の下落はナイジェリアにも影響している。ナイジェリアは原油と天然ガスの輸出が国家の歳入の80%を占める。
通貨は対ドルで過去最安値を記録したが、中央銀行は何も対処をしていない。これは2015年の選挙があるので通貨下落はそのままにしておくという方針のようだ。
もっともナイジェリアは2008年の金融危機の際にも対ドルで-25%の事実上の通貨切り下げを行っている。
**新世代のエレベーター
世界の各地で超高層ビルが建築されているがエレベーターも技術革新が続いている。
現在最も早いエエレベーターはTaipei101で稼動している東芝のもので1秒当たり16.8mだ。しかし2015年には121階建てのShanghai Towerに三菱製ものが導入され秒速18mになると予定され、さらにその良く都市には日立が秒速20mものの導入を考えているという。
また速さだけではなくケーブルの長さにも進展がある。ウルトラロープと呼ばれるものは従来のものの7倍も軽く長さも従来型の2倍になるという。
さらに現在は1つのロープに1つのリフトだが、これを2つにする技術が来月に導入されることになっている。
**ルクセンブルグ、金融取引の秘匿性を見直し
ルクセンブルグでは2002年から2010年にかけてPepsi、P&G、JPMorganといった340の多国籍企業が租税を回避するスキームを秘密裏に行われてきた。
**チャットアプリの副産物
端末間のセキュリティが向上するに従って、諜報機関の仕事がしにくくなっているという状況が生まれている。
スノーデン事件はセキュリティ産業を活発にしテクノロジー企業はそれぞれその技術を導入し始めている。
**トレンドフォロー戦略の復活
相関関係の高まる市場になり、今回もトレンドフォロー戦略は死んだと言われていた。しかしコモディティ、円安といった部分にトレンドが出て、他のヘッジファンドが苦戦するなかトレンドフォロー戦略は2014年は2桁のリターンを出している。
人間は損失が出ると戦略を変更するものだがトレンドフォロー戦略は違う。その損失は構造的に予期されているからである。
**連合会長がGPIFを批判
債券比率を60%から35%へと減らし、その代わりに国内外株の比率を倍にする決定について、失敗した時に誰が責任を取るのかと批判した。
GPIFはこれまで保守的な運用をして来たが、先週の決定により積極的な運用がされることになっている。
**ロシア中銀、自動的な介入政策を終了
1日に3億5000万ドル以上の介入を行わないと発表した。これまでは変動幅の下限に達する度に3億5000万ドルの介入を自動的に行っており、投機筋の格好の目標となっていた。10月だけで290億ドルの介入が行われ外貨準備も減少していた。
これを受けてルーブルは対ドルで-3.1%下落した。ロシアは先週の金曜日に150bpsの利上げを行い9.5%の金利に引上げていたが効果は無かった。
**中間選挙は共和党の勝ち
共和党は上院では54%を獲得、下院では共和党の243議席に対して民主党は175議席となった。この結果により減税、エネルギー業界、銀行業界への規制緩和が求められることになった。
**中国の反汚職キャンペーンで急激な売上減に直面するマカオ
ラスベガスの7倍の規模になったマカオだが10月の前年比は-23%と大幅に下落し、VIPからの収益も-17%となった。
**日本の事例から学ぶこと
日本は前例の無い金融政策を取らざるを得ないほど苦境に立たされている。EUが日本から学ぶことはなにだろうか。
1つ目には1990年代の前半の厳しい金融政策を取らないこと。2つ目には政府が1997年のような早過ぎる緊縮財政を取らないこと。
そして3つ目は構造的な企業セクターの資金剰余を構造改革することである。日本は決してこの3つ目には手をつけてこなかった。
**米2016年大統領事前支持率
民主党はHillary Clintonが63.4%、次点Joe Bidenが11.4%と大きくリードを広げている。
これに対し共和党はRand Paulが11.8%が首位だが、次点がJeb Bushの11.6%とそれ以下も同じくらいの支持率の候補者が複数おり一本化できていない。
**Virgin Galactcの試験飛行が失敗
墜落により1名のパイロットが死亡し2015年の商業宇宙旅行は遠のいた。原因はいまのところ不明。同社では1人あたり25万ドルするチケットが800枚既に売られている。
**2016年にリチウム電池に大幅な改善
新型のリチウム電池によって電気自動車は3倍の走行距離とコストダウンを得る。スマートフォンやラップトップの稼働時間も倍になると予想されている。
特に電気自動車ではコストのうち30%はバッテリーに関するものであるといわれており、そのコストダウンによって13万ドルではなく3万ドルで電気自動車が店頭に並ぶという。この技術は現在AppleやTeslaと予備交渉に入っている。
**韓国財閥に苛立つ投資家
韓国の財閥は低配当や低成長にも関わらず未だ財閥オーナーの個人的なものとして扱われており、投資家はこの現状に挑戦し始めている。
特に配当性志向は20%以下と30%前後で低いとされている日本よりさえ低い。米国でもかつてはFordやRockefeller一族が支配していた時代があった。韓国企業も変わるのだろうか。
■相場観
世界的にいまのコンセンサスや共通見解は米国経済は強いというところだろうか。日本はそこに乗って追加緩和と増税先送りで株価を上げてその間に選挙を乗り切ろうという考えのようだ。
どこの政府もどんどん肥大化する一方で、インターネットによって個々のネットワークも作りやすいように見える。この2つの逆行したトレンドはよくよく考えるとちょっと不思議な共存をしているように見える。
いずれにしても相場観というものはもはや無く、中央銀行ならびに国家が潰れるか潰れないかのどちらかに賭ける2択になったことを指すのかもしれない。