2014/03/28

電王戦で感じていること

3月22日に行われた電王戦第二局は第一局に続いてコンピュータが勝利した。この日はマラソン前日だったので部屋の中で大人しく観戦していたが、中盤の勝負所での解説が面白くついつい見入ってしまった。

プロの感覚が数字で理解できる面白さ

将棋の解説は一手ごとにその意味合いを教えてくれるが、どのくらい悪かったのかというのが言葉でしか表現できなかった。『この手はちょっと感触悪いですね』『これは好手ですね』といった様にだ。

これに対して電王戦ではコンピュータが計算している評価関数の値が-9999~9999の範囲で表示される。これがなかなか良い。

今回で言えば人間が指した△83飛を指したところで、いままで拮抗していた評価関数が少しだけ離れることになった。この手は解説者も感触が悪いと評していたが実際に数値になるとどのくらいのニュアンスなのかが解って興味深かった。

この評価関数を見ていると人間の将棋は本当にバランスを取って指しているのが良く解り、プロ棋士達の技術の高さと正確さを感じさせてくれる。私のような下手が指すとこの評価関数は跳ね回る。悪手を指しまくるからだ。

プロのニュアンス、見ている世界を、少しにしてでも垣間見ることができるというのはコンピュータ将棋の良い点だろう。

羽生三冠が言う、プロの将棋はどれだけ悪手をささずについていけるかが勝負、ということが体感できる。

自分の仕事に活かせるか

それからこの随時評価関数を更新し数値化するのは、ひょっとしたら自分の仕事でも応用が効くのではないだろうかと考えた。

基本的にはアナログの時間に沿って株価は動くが、データを見る際は1分ごとであったり10分ごと、1日ごと、1週間ごといったある一定の時間を基準とした枠に入れて過去のデータを見ることになる。

ということは離散的にデータを見ているわけでこれは将棋における一手とも考えることができなくはないわけである。ということはその都度、評価関数を計算できることになる。

プログラムでトレードを書く際はこれと同じことをやっているのではとないかと思って思いだしてみたが、何気にやっていなかった。少し考える方向が違っているのだろう。

表示された値に従ってやるやらないは別にしても、その場面場面での評価値、トレードなら期待値を出していくのはアイデアとして十分面白そうだなと感じた。

大雑把を突いて来るコンピュータ

鈴木八段がある手の解説をしていた時に、こういった手を指して勝ったためしがないから先を人間は読まなくなる、という主旨の発言も印象深かった。

これが人間同士対戦の解説なら、感触悪いですよね、の一言で次に行くのだが、対コンピュータ相手だと、その人間がこれまで経験して養ってきた感覚にもメスが入ることになる。これはシビレる。

自分の仕事でもこの形をしていたらこれくらい上がるだろうとか、この形は買うと損する、というのは感覚として積み上げてきているが、そこを改めて考えたり数値化するのはやっぱり大変だ。

確実に宝石が埋まっているのは解っているが、毎回それをやっていたら日が暮れてしまうし、全部読んでいたら他の部分にも影響が出てしまう。

しかしコンピュータはそんな部分をおかいなく無視して計算してくるので、いままで蓋をしていた部分が明けられてしまい考えざるを得なくなる。

人間の持っている物事をできるだけ抽象化して把握する能力は計算量を節約する効果があるのは確かだし今後も必要となるだろうが、そういった部分はこれから先、少しずつかもしれないが確実に計算量に明け渡していく領域なのかもしれない。

■第三局について

去年の成績と今年の第二局までを考えると、1つの引き分けも実質負けだと考えると、プロ棋士の1勝6敗となっている。もうこの地点でどっちが強いのか論争は終わっていると言うこともできるかもしれない。

それでも次の豊島七段は将来はタイトルを確実視されている若手有望株なので勝って欲しいと期待してしまう。やはり人間対コンピュータとなると普段の対局とは違った感情で将棋を楽しめることは間違いないし、それを後押しするのが評価関数の値でもあると思っている。

どんな形にしてでも勝ちが欲しいところだ。

**睡眠用アプリ2種

睡眠不足は現代社会の問題の一つになっている。米国では毎晩睡眠薬を飲む人が4000万人おり、英国では1520万の処方箋が出されている。SleepRateは99ドルでREM(rapid eye movement)や夢を見た時間、回復睡眠、部屋の音などの詳細なデータをハートレートモニターとiPhoneで記録してくれる。Basis Scienceのスマートウォッチは199ドルだがより簡単に測ることができる。

**英国の衛星がMH370を解決する

英国のInmarsatがMH370は南インド洋の辺境、オーストラリアのパースから2500km離れたところで海に衝突したことを明らかにした。解析を担当したチームはドップラー効果を使用した。今後は正確な位置をつきとめることになるが、海底に沈んだ応答装置は30日しか持たない。

**積み上がる日本の負債

日本の支出と税収は1990年までは共に成長してきたが、それ以降は税収が落ち込む一方で支出は増える一方だ。社会保障費は1990年の3倍になっている。10年債は1.5%だがデフレを考えると実質利回りは2.5%と考えることができる。しかし30年債の90%は日銀によって保有され、ある意味で財政ファイナンスが行われている。日銀は長期国債の80%を買い入れているが、FRBでは55%である。