2013/09/11
イベントトレーディング入門 アンドリュー・ブッシュ 金融市場は1にパニック、2に自問自答という得意の反応を見せた
日々暮らしていると教科書に載るような歴史的出来事は起きないのではないのかと錯覚してします。しかし後から振り返ればやはり我々の時代にも過去とと同じように大きなイベントがあったことが確認できます。
金融市場ではそういった大きな事態が発生すると織り込みにかかるので、そこに必然的に大きな価格変動が伴いますが、記憶とは風化してしまうのでその事態の推移を記録してある本書は思った以上に大事と言えると思います。
本書では感染症、自然災害、テロ、政治などによってその都度どのように金融市場が反応してきたのかを記し、またそこから導き出される一般的傾向について述べています。
1.個々の事例
2.全体の傾向
1.個々の事例
・ペスト
ペストによる死亡者はヨーロッパ全体の25%~40%に達した。青果、宿屋、酒場は閑散としたが教会と薬局だけは人の出入りが絶えなかった。また人口が減少すると需要の関係から食品価格は下がったが、職工も人数が減ったため人件費は逆に上がった。
・スペイン風邪(H1N1型インフルエンザ)
第一次世界大戦の死者は850万人だが、同時期のスペイン風邪はその4~5倍もの犠牲者を出している。SARSは飛沫感染だがインフルエンザは空気感染で格段に伝播しやすい。また潜伏期間が2~3日と短いので調査する余裕も無い。
この時は問い合わせ需要により通信業界、葬式業者、健康、公衆衛生、防護マスクなどが成長した。また安全資産へ避難から債券にお金が集まった。
・狂牛病(BSE)
食品株が下がったが早期に回復した。ライブキャトルや大手外食チェーンに影響。具体的にはマクドナルド、ウェンディーズ、アウトバック・ステーキハウス、ローンスター・ステーキハウス&サロン、タイソンフーズなど。BSE以前の大きなトレンドは各国の中央銀行介入によって維持または強化された。
・SARS
ホテルのシャングリラや航空のキャセイパシフィックなどが下落する一方で、SARSの治療薬や検査薬を手がける製薬大手は堅調だった。
・鳥インフルエンザ
航空会社、娯楽産業、大型商業施設が影響を受ける。医療機関は堅調。発生国の通貨も当初は弱含むがいずれもとのトレンドに戻る。パンデミック発生時の欠勤率は30%にも上るので、宅配便のUPSやオンラインスーパーなどもある。また葬儀事業者。
・ハリケーン
条件が複雑に絡み合うため、速度と進路の予測をすることは難しい。保険株は大きな影響を被る。原油、天然ガス、木材は一時的に急騰するがすぐに元に戻る。株式や国債には影響を与えるが一時的なものだ。
・阪神大震災
保険株が下落する一方で建設株が急騰。
・テロ
9.11の時にドル売りが始まったのは2機目が突入する前。
・選挙
選挙がらみのマーケット変動は投票日のはるか前から始まることが多い。相場がとくに大きく動くのは与野党が交代する可能性があるとき。
・戦争
イラク戦争でエネルギー関連株は急騰したが、上昇したのは開戦前まで。イベント前に仕掛けて、イベント後に降りる。今後の価格変動は激しくなるがより短期になる。
2.全体の傾向
・イベントは社会の最も弱い部分で発生する
・被害は直接的なよりも二次的なものによって被害が拡大される
・発生当初の大混乱、正確な情報の不足、金融市場の過剰反応
・情報は正確ではない、もっとも打撃を受ける業種がある、幅広い金融商品も影響を受けるが小幅にとどまる
・インパクトは最初の時期が最も大きい
・金融市場への影響は短期間に集中する
・金融市場へのインパクトはロケーションが大きい。大都市や産業の要所が絡まなければ影響は無い。
・資産価格に影響したのは金利や経済活動のトレンド
・一部の銘柄が下がると業種全体まで落ち込むが、主力株は回復した時にきちんと戻る
・イベント前のトレンドはいずれ回復する
・イベントは短期決戦型の逆張りトレーダーにとって絶好の機会になるし、長期トレーダーも有利なポジションを建てる機会になる
・金融市場の非効率性は定期的に発生するわけではない
**人材流出が激しいポルトガル
ポルトガルの25歳以下の失業率は37%と非常に高い。その一方で30~34歳の大学進学率はこの24%と2倍になっている。1960年代にも移民が増加したがこの時は主に農民であった。
しかし今回は若くて、都会の、教育された人材が流出している。ポルトガルは1000万人の人口だが毎年10万人が移住していくという。看護婦はポルトガルでは年に1300ユーロの年収だが、ロンドンなら40000ユーロ、湾岸諸国なら70000ドルでさらに無税だ。
子供の未来も見通せないということで出生率もこの50年で最も低い。また移住するのはお金もさることながら、キャリアが国内だと閉ざされている事が1番のようだ。
**PKK、撤退を中止
クルド労働者党は政府と1984年以来、政府と戦っていたが3月に休戦した。しかし政府がクルド人問題の解決策をなんら実行に移していないとして撤退を中止した。一方Erdogan首相は20%しか撤退していないと非難した。クルド地域には石油がある。
**Credit Suisse、持続可能な利益を策定
リーマンショックの数少ない生き残りCEOのBrady Douganは税引き後15%の利益を目標とし、環境が良ければ10%後半から20%、そうでない場合でも10%台の利益を確保を狙うとした。Cerdit Suisseはスイス最大手の銀行で危機の際も政府支援無しで乗り切っている。
steering 指揮
**日経平均は218円高の14423円
一部の売買代金は2兆4412億円、マザーズは571億円。前日寄り天だった建設株が上値を追う。アメリカはDELやNKEが最高値を更新。