2013/09/12
太平洋の試練(上) War at sea in the Pacific,1941-1942
帯にもあるようにアメリカが純粋に負けていた180日を書いて、初めて知ることも多くとても面白い本でした。海戦の描写などもかなり良い出来だと思います。
普段われわれが触れるのは日本人の資料によるもなので、どうしてもアメリカ側の視点というのは欠けてします。最後の結果も当然知っているのでそこでなんとなく合理的で近代的な軍隊を持ち、さらに非常に大きな生産能力を誇るアメリカというイメージを持ってしまいますが実際はやはり違う。
この上下では(ちなみに三部作の予定らしい)ミッドウェイまでを扱っていますが、アメリカも新米の兵士や実戦未経験の提督が多く、また純粋に軍事的にも厳しい状態が多かった事が本書を読むと解ってきます。
戦局の推移も去ることがながら、アメリカ側のちょっとエピソードが色々もとても興味深かったので書き出してみましたが、想像以上に多くなってしまったのでなくなく簡潔にまとめ直してみました。
まとめる項目がない本も大変ですが、逆に面白すぎてどうまとめて良いのか解らない本もまた難しいところです。思い切って捨てちゃう部分を多くしちゃうのが筋なのでしょうけど、後ろ髪引かれてしまいますね。
1.アメリカ側の登場人物
2.狼狽する姿
3.戦局の推移
1.アメリカ側の登場人物
・マハン
艦隊の集中運用、攻勢の強調、決定的海戦による敵艦隊の撃破が教義。1890年と1892年に出版され長く海軍戦略のバイブルとなる。
・セオドア・ローズヴェルト
マハンの熱烈な信奉者で海軍拡張に熱心。それまで年功序列で保守的で新技術の導入にも消極的だった老人の海軍を、実力主義を導入して刷新する。
・フランクリン・ローズヴェルト
セオドアの姪と結婚。同じくマハンの信奉者で海軍主義者。
・ニミッツ
真珠湾の責を取らされたキンメルの後任として太平艦隊司令長官となる。温厚な性格。才能のある若手を見出し、それを発揮させる部署につける才能があった。
・キング
合衆国艦隊指令長官兼海軍作戦部長。タフで手加減しなく敵を多く作るが、一方で公平で好き嫌いに関係なく接する。将校を作戦地域とワシントンを往復させ行き渡った経験をさせた。
戦略としては、1.ハワイが陥落してはならない。2.オーストラリアが陥落してはならない。
したがって第1の優先事項はミッドウェイとハワイと北米本土の海上交通の確保。そして僅かに優先度が低い第2の優先事項として北米とオーストラリアの交通線、主としてハワイ-サモアの確保維持。
・マーシャル
陸軍参謀総長。米英を含む連合国の作戦地域全体を指揮する1人の人物が必要と訴える。イギリスは反発したが、キングは2日で賛成に回った。チャーチルも最終的には1ヶ月試すということで面子を立てる格好で降参した。
この時のマーシャルとキングは陸海の提携を強めた。
・ハルゼー
成績は良くなかったが皆に好かれた。空母の指揮官。大立ち回りをやりたい性格。渾名はブル・ハルゼー。
・チャーチル
真珠湾攻撃後の12/22から3週間に渡ってホワイトハウスで寝泊りし、ローズヴェルトにヨーロッパ優先の原則を説いた。
・一般将校
ほぼ全員がプロテスタント信者の中産階級出身。メリーランド州のアナポリスの海軍兵学校に入学し、世界の寄港地で外交官の真似事をすることから社交上のたしなみを非常に重要視された。
学校は同化の手段として機能し、まわりと調和できないものや調和しようとしないものははじかれた。留まって最後までやり遂げた者は、強固な団結心で結ばれた。
2.狼狽する姿
米本土では記録的な交通渋滞、機関銃陣地と対空砲火の設置、買占め、天気予報の中止などが行われ、サンフランシスコではゴールデンゲートブリッジ上空に60機の日本軍機が来襲したとの誤報があった。
攻撃を免れたハルゼーの空母からオアフ島に着陸しようとした数機の戦闘機を誤射しこれを撃ち落した。
海軍本部の管理職は私服が慣行だったので、最初の数日間はミスマッチか時代遅れか体にあっていない軍服姿で現れた。
一般大衆にとってはヨーロッパよりもハワイの方が遠く、どこにあるのかさえ解らなかった。
3.戦局の推移 真珠湾、南方戦線、マーシャル空爆
・真珠湾
海軍は1919名の戦死者と死傷者を出したが、これは米西戦争と第一次世界大戦の死傷者を合わせた数の3倍であった。戦艦8隻が戦闘不能になった(6隻は修理された戦列に復帰する)、188機の航空機が地上で破壊されたがこれは太平洋全域の2/3にあたった。
しかし日本軍は修理工場をたたき忘れ、艦隊の450万バレルの燃料タンクが残った。ヨーロッパ全体で石油が不足していた事実を考えると貯蔵を回復するのに数年かかったと言われる。また初日に戦艦を失ったため航空優勢を認めざるを得なかった。また艦隊は17ノットから25ノットの集団になった。
・南方戦線
フィリピンでは開戦1日目に航空戦力の半分が消失。
アメリカ軍もイギリス軍も日本人のパイロットは生理学的に欠陥があり二流であるとし、零戦の存在もほぼ知られていなかった。
イギリスは最良最強の戦艦と考えていたプリンス・オブ・ウェールズとレパルスを中心するZ部隊を派遣していたが、サイゴンから飛来した九六式陸攻などにより消滅した。日本軍機は3機を失っただけであった。
戦術としては爆弾を搭載した編隊が高高度で飛来し対空砲火をひきつけ、その直後に魚雷を抱えた雷撃機が低空で侵入し艦首に向って鉄床攻撃を行う方法。戦艦が戦闘態勢で航行中に航空攻撃で撃沈された初めての例となる。
・マーシャル空爆
ハルゼー率いる機動部隊でマーシャル諸島を攻撃することによって、日本軍の南進を反らし、また消沈している士気の回復を狙った。しかし正確な地図をアメリカ軍は持っていなく、また艦内には戦闘経験者が一人もいなかった。
空母によるこの奇襲は一応成功したが、パイロットは戦果を課題に水増しして見積もっていた。実際は数隻の輸送船と小型艦艇を撃沈しただけだった。しかし自信の後押しにはなった。また将校たちは集まって、改善の余地が大いにあることを認めた。
・高速で機動部隊の陣形を維持する事
・航行中の燃料補給、空母上空の戦闘機を管制するレーダーと通信の使い方
・F4Fワイルドキャットの運動性や上昇速度の不足、機銃の故障
・TBDデバステーターの低速
・対空砲火の無力さ
・見張員があまりにも簡単に潜水艦の接触を疑うこと
・レーダー画面で敵機と友軍機が識別できないこと
・航空攻撃に手厚い護衛をつけながら空母上空を守る為に、より多くの戦闘機が必要な事
**Apple、iPhone5S,iPhone5cを発表
指紋認証を搭載したハイエンドのiPhone5Sと明るい色を配したアッパーエンドのiPhone5cを発表。プレミアムブランドを維持しながらマージンを確保する狙い。また5cによってSamsungなどのAndroid陣営からシェアを取り戻す。アナリストによれば新しい色の導入は技術上のイノベーションが遅れている証だという。
**オリンピックに期待する東京
1964円の東京オリンピックは3.6%GDPを押し上げた。今回はそれには遥かに及ばない1%だ。政府は3兆円の効果があるとしている。また15の既存の施設を利用する一方で、20の新しい施設を作る。そのうちの一つは80000人を収容するスタジアムで1300億円かかるという。埋立地に作る高層ビルが選手村になるという。航空会社は人手をさばくために滑走路とターミナルの拡張を求めている。
**Dow指数、3-3の入替え
VISA、NIKE、GoldmanSachsが新しく入り、Alcoa、Bank of America、Hewlett-Packardが外れた。3-3の入替えは2004年以来であり、その時はAIG、Pfizer、Verizonが入り、Kodak、AT&T、InternationPaperが外れた。この交代はDow指数を加速させるだろうが、1999年のMicrosoftのように新しく組み入れられた銘柄はピークをつけている可能性もあるので注意が必要だという。
**日経平均は1円高の14425円
一部の売買代金は2兆2573億円。マザーズは820億円。建設株は早くも息切れか。アメリカはアップルがチャイナモバイルを明言しなかったことにより-5%。ヨーロッパのFESX指数が高値。