この前のエマージングが下落した際にインドが目立っていたが、それを原因を含めて当てているのはさすがだろう。
またスイスが今後も資金の逃げ場、主に通貨の健全性の立場から、が続くのかどうかも考える時期に来ていると言及しているのは興味深い。ここでも歴史の知識が生かされている
4-1 ブラジル、ロシア、インド
・ブラジルの繁栄は商品の上げ相場によるものだ。これにもやがて終わりが来る。外国人の土地所有に対する制限、為替管理、高い関税、保護貿易の高まりなど必ず政治家がやらかす愚行のせいで、ブラジルの生産性の先行きは暗い。
・ロシアが上昇気流に乗っているのも、ブラジル同様商品相場の上げ相場のおかげであって一時的なものだろう。出生率が極めて低く、国民の高齢化が急速に進んでいるという、人口統計的に見て実に深刻な問題を抱えている。
ロシアを離れる人の数が増えていることも事態をさらに悪化させている。また平均寿命が短いことも窮状に拍車をかけている。すでに経済的危機に見舞われているロシアは、さらに瓦解し続ける国だ。
・インドは国民全体の食料をまかなう能力が無い。この国を絶望的なまでに縛り付けている官僚制度は世界にも類をみないほどで、腐敗した政府は慢性的な無能状態にある。保護貿易政策を取るインドでは外国人が見せを開くことはできない。インドの債務対GDP比は現在90%にまでなっており、経済成長は事実上不可能な状態だ。大学の数も少ない。
4-2 アメリカ
・リーマンブラザーズは150年の歴史があった。
・拡大しすぎ金を使いすぎるのが帝国の常だ。ボーア戦争に人と金をつぎ込んだイギリスでは、国内に混乱が生じ負債が膨らんだ。
・政治家や官僚はとにかくいつでも無能である。
・世代が下がるほど議員はますます無能になっている。彼らの3分の1はパスポートを申請した経験もないままワシントンに初登院する。
・アメリカで最も健全な成長を見せている産業の一つが訴訟である。アメリカの弁護士の数は他国のすべてを合わせたよりも多い。この国でビジネスをするときの必要経費のかなりの部分を占めているのが、訴訟費用である。おかげで国際競争力は低下する一方だ。
・アメリカの弁護士の金銭的要求に応えるための金額は、BMWやホンダがエンジニアリングに費やしている金額と同じだ。
・ヨーロッパの裁判制度は敗者が勝者の訴訟費用を支払うルールだが、アメリカでは告訴してもお金はかからない。お金を失うリスクはゼロなのだ。
・ベトナム戦争の戦死者数に始まり、イラク侵攻の正当化に至るまで、政府が嘘をつき続けている点は今も昔も変わらない。違うのは、大衆が政府の歪曲を甘受している点だ。今のアメリカは個人よりも大権の方が優先される国だ。アメリカ人は事実上国外で銀行口座を開けなくなる。
・ロンドンではアメリカ市民権を放棄する順番待ちが6ヶ月、ジュネーブでは14ヶ月待ちだ。
・アメリカは国力が頂点を極めたときから3代目だ。金融業界はすでに斜陽である。現在、株式市場の新世代からお金を集めているのは香港なのだ。
・今のアメリカが優位に立っている分野はきわめて少ない。マイクロソフトやアップルやグーグルは確かに偉大だったが、もうこれ以上アメリカがデジタル技術の世界を支配することはないだろう。ただし農業とシェールガスは良い兆しだ。
4-3 EU
・スイスフランはこれまでずっと健全であったが、問題はそれがこの先も続くかどうかと言う点だ。2つのシナリオがある。市場はスイスフランを買い続ける。
つまりスイス国立銀行は紙幣をひたすら印刷し続け、その結果必然的にスイスフランの価値が下がる。この場合はやがて資産の逃避先としての価値が失われ、お金はシンガポールや香港に流れるだろう。もう一つのシナリオは中央銀行がフラン売りをやめる。スイスフランの価値は上昇し、中央銀行が損をする。
・どんな独占も最終的には自滅する。ロンドン、リヒテンシュタイン、ウィーン、シンガポール、ドバイ、香港という金融中心地が台頭している。
・マーストリヒト条約ではどの加盟国も財政赤字が3%を越えてはならないことになっている。この取り決めを改竄した最初の国はフランスだった。加盟国の大半がこぞって条約を無視する日も近いだろう。
・健全な経済あっての健全な通貨、と考えていた調印のオリジナルメンバーはすでに亡くなったか、リタイアの身だ。その後継者の頭の中は再選のことで一杯で、財政規律などという馬鹿げた夢物語が再選に寄与するとは誰も考えていない。
・ギリシャがドラクマにもどっても、ドラクマの価値が下がるので貿易収支は大幅に改善するだろうが国民一人一人は無一文同然になってしまう今後数十年ギリシャ国民は安定した暮らしを送れない。この事実を変えるシナリオを検討している人間はいないし、そもそもそんんあシナリオ自体が不可能なのだギリシャに金を貸しつけている連中は大きな損をするだろう。
**JPMorgan、9億2000万ドルの罰金
クレジット・デリバティブの損失、いわゆるロンドンの鯨事件に対して。故意に損失を隠したり、情報を出さなかった。JPMorganはこの事件が起きるまで最もリスクマネジメントに優れた投資銀行だとされていた。
**米住宅中古住宅販売、6年半ぶりの高水準
前年比1.7%増の548万戸に達した。また8月の数字は2012年から13.2%高い水準となっている。背景には金利の上昇がある。Freddie Macにによれば30年ローンの金利は5月は3.35%であったが昨日は4.5%に上昇している。
**Sony、PS4に強気
ソニーは今年の11月から3月にかけて500万台の売上を見込んでいる。これに対して2006年のPS3の355万台であった。同時期にXbox oneが発売されるが、PS4は399ドルと100ドル安い。これはPS3の時の教訓を生かした格好になる。