2013/09/24

ストリート・スマート Jim Rogers(4) 投資


5 投資

・それまで理論として学んできた歴史や時事がいきなり理論以上のものになり、実際的な価値を持つようになった。世界を知りたいという私の熱い思いに意味が与えられたのだ。市場は世界で起こった出来事によって動いている。歴史を学んだ学生として私はそのことに魅了された。

・タイミングがずれていた。的を射ているのに時期尚早、その後の投資家のキャリアを積んでいく中で、私は何度もそういった事態に直面することになる。

・絶えず変わり続けるのがウォール街の魅力だ。この街では、次々と起こる出来事にとにかく遅れを取らないようにしなくてはならない。絶えず行動することが求められるのだ。まるで時間や出来高と勝負しながらすすめる4次元パズルである。毎朝仕事に出てくるたび、パズルのピースが動いている。

・投資の世界には、ほかの業種にあるようなリズムというのが存在しない。延々と試され続けるのである。

・上げ相場で大金を稼ぐ人はたくさんいるが、相場が普通の時に稼ぐのはなかなか大変だ。下げ相場の時期となるとさらにきつくなり、大半の者は投資の世界からつまみ出される。生き残るには貫徹すること、粘ることが絶対に必要だ。そしてそれと同じくらい重要なのが判断力である。

・ウォール街で成功するにはとりあわけ好奇心の強い人間でなくてはならない。サイコロを振ってどんな目が出るかは誰にもわからない。さらに懐疑的な人間ではなくてはならない。人から聞いた事は蓋を開けてみると誤りだったという場合がほとんどで、言った側はよく知らなかったり、事実を曲解している。

・空売りは市場になくてはならないものだ。安定や流動性をもたらすからである。

・6社の株を空売りしたとき、明らかにこれはミスだと終われるポイントが一つあった。自分の知っていることは他人も知っているはず、と思い込んでいたのだ。

・自分が詳しいこと、そしてそこに現れる変化に的を絞れば、ウォール街の人間がまだ誰も気付かないうちから、やがて大きな変化が起こることを察知できるはずである。

・みな勘違いしている。何もしないことが一番賢明という場合が時としてあるのだ。類まれな成功を収めた投資家たちは、実は大半の時間を何もせずに過ごしている。動くことと行動を起こすことを混同しないで欲しい。静観すべきときを知らなくては。

株を買ったら10年間は何もしない、ことの成行きを、世の中の変化をただ見守るのである。それがお金を作る方法だ。株を売ったあとも同じように何もしないことが重要だ。

・みながほとんど同時に同じ情報を手に入れる。差をつけるのは判断力の良し悪しなのである。

・大金を手に入れたいなら分散投資に抗うべきだ。良いものを見つけたら、それに的を絞って資金を集中させる。だがそこには自分の判断は間違っていないという強い確信が求められる。

・上げ相場ほど自分の頭が切れると過信させるものはない。単なる上げ相場を、自分の頭脳のなせるわざと勘違いしている人間のいかに多いことか。

・小さな子供は自分がお金をもうけている理由をわかっていない。わかっていないから稼ぎまくっているのである。経験があって賢い人間は、この先手ひどい仕打ちが待ち構えていることをちゃんと知っている。バブルには、経験が浅いのに危ないことに手を出せるだけの頭脳をもった子供が必要なのだ。

・あなたは手を引くタイミングを心得え、知識不足、経験不足から身を守る賢い投資家になる必要がある。そしてもちろん、なかなかそういうふうには振舞えないものだ。状況が悪化しているときは、そういうお子様たちとは距離を置く必要がある。

・ある国の実情を知るには、眼前に横たわる国境を越えるのが一番だ。賄賂を支払うべきか、公明正大か、効率的か。

・公定レートとブラックマーケットのレートにかなり差があるなら、何かとてもまずいことになっている。その国について知りたいなら、政府高官の言うことよりもブラックマーケットの人間の話を聞く方が効果的だ。

・道路の状態。信号。まともな店はあるか。ホテルは正真正銘のホテルか。

・実は一次産品は株より分析しやすい。IBMを理解するなど当の会長ですら無理だ。綿花について知っておかねばならないことはただ一つ。綿花がたくさんあるかないかということだけ。FRB議長が誰かなど綿花にはなにも関係ない。

・私が投資で成功してきたのは、大きな変化、大きな流れが起きつつあることに常に注意を怠らなかったからだ。

・異常な熱狂のさなかでは懐疑的意見に信頼を寄せる人などほとんどいないというのがお決まりのパターンだ。懐疑論者は馬鹿にされるか無視されるかのどちらかだ。

・通貨の投資スタイルはさまざまである。レバレッジをする。スイス国債をスイスフランで、ドイツ国債をユーロで買うなど。最終的にアメリカはこういった動きに反応し為替管理に踏み切るだろう。政府は外貨取引市場からアメリカを締め出すだろう。そうなれば最悪で、アメリカの衰退をまた1つ加速させる。政府というは昔からそういうものだ。

・強いドルは米財務省が何十年も唱えてきたスローガンみたいなもので、その間、アメリカの通貨価値は着実に下がってきた。

・世界はダイナミックに変化していくものだ。作為的に抑えられたものはやがてバランスを欠いて爆発し、解き放たれる。ひずんだものはどんどん均衡を失ってゆき、やがて何もかもがはじけて終わる。

・紀元54年にネロが帝位についたとき、ローマの貨幣は純金か純銀だった。だが268年になる頃には銀貨に含まれる銀はわずか0.02%だった。ローマ帝国は銀がなくなったり、誤った経済政策で貿易赤字に陥ったとき、好況を維持するためにとにかく貨幣を鋳造していた。テクノロジーは変われど、やっていることは結局同じだ。

・あと3年はみなドルを使うだろうが、ある時期から金やスイスフランや人民元を使い出す動きが出てくるはずだ。

・海外に口座を開く際はいつでも一番大きな銀行にした。もし問題が起こっても政府が銀行を国営化してくれるから、自分の口座がなくなることもないと踏んだのである。

・成長率を示すあらゆる数字は当てにならない。アメリカは常に数字を変える国だし、大半の数字はでっちあげだ。そんなものに注目すべきではないと私は長年の経験で学んだ。政府の出す数字などはたいてい広報上の言い訳でしかない。信じるべきは、実際にその地に行って知り得ることだけだ。

・今後死ぬまで投資に手を出さないとしても、世界を知りたいという情熱は24時間追い続けると思う。そういった人間なのだ。

・その気さえあれば何百という株を調べ上げて空売りに最適な6銘柄を選べる自信はある。だが今は電話をしてETFを空売りするだけだ。その方が良いというのではなく、その方がずっと楽なのだ。私は不精になってしまったのである。

・ETFや指数に入っていない会社を探して調べたい人にはチャンスがある。ETFや指数に入っていないために、ほとんど誰も追跡していない会社が世界にはまだ何千社もあるからだ。

**Millennials

1980年から2000年にかけて生まれた世代をmillennialsと呼び、現在13歳から33歳である。Timeでは"Me Me Me Generation"と呼んだ。この世代の3/4はスマートフォンを持ち、親世代より良い教育、世界とのつながりがある一方で、教育ローンや悲惨な就職状況下におかれている。数は全世界で25億人になる。

彼らはオンデマンドやソーシャルメディアの世界に生息し、従来型の広告が届かない。音楽であればAriana Grande,TVであればAwesomenessTV,WebならUpworthyなどが普通なようだ。また視聴にお金を払う傾向は高く、コンテンツを保有するよりもアクセスできることが大切である。長いCMや作品を見ることよりも良いコンテンツ探しに時間を使う。


**ヘッジファンド、心理学ソフトウェアを導入へ

ヘッジファンドマネージャーのパフォーマンスを改善するために心理学を用いたソフトウェアを導入する。これはスポーツマンが過去数年導入し成果をあげ競争力を高めたことと同じである。今秋発売されるソフトウェアでは心理学及び行動の専門家が作成したものになり、感情と環境を整えるようだ。

delve into 掘り下げて考える
better off  一層楽になる


**過剰接待の終焉

ドイツ銀行が年金基金を過剰接待をしたとの疑いで証券取引監視委員会が調査をしている。これは規制当局が過剰な接待を認めず欧米にようなルールにする意向の表れだという。背景には2012年にAIJ投資顧問が行った13億ドルの損失隠蔽にある。

cover up losses 損失を隠蔽する

**S&P、FRB分を消す

taperingなしで上げた分をそっくり返上。チャートもだいぶ変な形になってきた。変形して三尊の可能性もある。リーマン時も同じ展開だった。