2014/02/24
男の系譜
池波正太郎に編集者が何度かインタビューをしそれを書き起こしたもの。言及されているのは、戦国、江戸、幕末の男達となり、またそれに合わせてそれぞれの時代や事件の背景の解説を行っている。
単純に知らなかったことを知るという楽しみもあるし、池波正太郎の人生観といったものも良く理解できる一冊となっている。人間としての意地があること、見せることが大切なのかもしれない。
■人間は5歳までと12歳までが大事
ほぼ全員に対してこのことには言及している。
信長は実母には敵にされていたし、秀吉は母親からたっぷり愛情を貰い、家康は幼くして死別した上にたらい回しにまでされている。こういった幼いころの経験が晩年の違いとなって出て来ているのでは、としている。
これは時代が下っても同じで、浅野内匠頭も祖父が倹約実直の名君であり、父親が早世したこともあって幼い頃からそれを理想にして生きた。
吉宗は紀伊家の生まれではあるが四男であったので越前丹生の三万石の大名になり野山を駆け回る生活をし、倹約にはもともと慣れていた。
井伊直弼も同じで彦根藩の十四男で300俵の捨扶持で貧困であった。
このように言われてみると、確かに小さい頃の経験で性格や耐えることに対する耐性のようなものが培われているのではないかと思ってしまう。
もちろんそれで全て説明できるものでもないが、放っておくてだいたいこの通りになるというのも実感としてあるのも事実だろう。
■戦国の女の価値観
ひとつ別章を立てて戦国の女の価値観について書いてありそれも面白い。
男尊女卑という考え方というのは江戸もだいぶ安定した頃から起こるものであり、戦国はまったく違うと。
政略結婚というのも女もまた自分お家の為に働いているという意識が非常に強かった。いわゆる結婚観もまずは国を守るがある。そうなると男に対する見方も現代とは違ってまず『働き』となる。時代とともに基準も異なってくる。
愛情ということでも結婚してから恋愛が始まるので長続きするし、なにしろ死と文字通り隣合わせで生きているので緊張がある。こういう時代の愛情は鮮烈だとしている。
恐妻家というのでも現代のなんちゃってではなくて、本当に怖い。福島正則が妾をこしらえたときは城門まで奥方が薙刀を振りかざして追ってきた。それで手を合わせて拝んだという逸話が残っているが、それが本当の恐妻家でそれだけ妻を尊敬しているということの表れだ。また妻の方も妻としての責任感が強かったと言える。
系図で女性の名前がないのは女性蔑視だといわれるが、あれは男が負けた場合、一族郎党が根絶やしにされてしまう。そこで庇う意味もあってああいう系図の書き方をしている。
市と浅井三姉妹、細川ガラシャ、和宮に篤姫。それぞれ改めて考えてみると明らかに現代の生き方は違うし主体性が遥かにある生き方だと言い切れそうだ。少なくとも熱い。
男女の仲も二人の関係でなく、家を守る等の別の目標があった方がその実、二人の関係は深まるのかもしれない。
■江戸時代の事件の背景を知る
家光くらいまでなら春日局のエピソードなどでまだ知っているが、それより時代がくだると意外にしらないのではないだろうか。綱吉がどうして将軍になったのか、周りにはどのような家臣がいたのかなど。
それから日本三大仇討ちの荒木又右衛門の三十六人斬りも、背景には外様大名vs旗本という構図があること。それも元々は家康が身内の普代や旗本には禄高はあまりあげずに役職でという方針が遠因としてあること。特に旗本は実戦部隊だからいくさが無くなれば厄介者扱いされてしまうこと。といったことが書かれていて知らない事が多かった。
いわゆる忠臣蔵も時代背景として元禄文化を謳歌する江戸と、それ以外の大名の国の気風の差があり、江戸を見てそれを日本全国に適用するのは間違いだとしている。
**自動車資産担保証券はサブプライムローンと同じ
投資家の利回り探しに対しAuto ABSが銀行によって売られているがこれには潜在的な危険がある。一つにはミレニアム世代が自動車を買わないことにある。需要が減るのだからそれに基づくローンも減るはずだが実際には金融危機前の水準手前まで戻っている。第二にラスベガスに行く前に、ラスベガスで勝つだろうお金を使ってしまうというPrefundingのスキーム自体に問題がある。
**英では過去40年で金融と医師の給与が他業種に比べて伸びた
FT氏が過去40年のデータを分析し、金融と医師が伸びた一方で、1975年当時高かった教職者や科学者の収入が落ちていることを明らかにした。