今月は肥大化する政府の弊害と、その影響による住宅価格の二極化について述べている。相場としては貴金属の上昇を見ているようだ。
■GDPに占める政府の割合は20%が最適
Richard Rahnの論文によると政府の大きさと成長率の最適化には相関関係がみられるという。
政府がGPDに占める割合は0から出発し、最初は治安、自由、財産の保護から始まる。これを行うと経済が上昇し始める。次の段階はインフラの整備である。これは更なる経済の発展をもたらす。
ここで明らかななのは小さな政府はたくさんの良い事があるということだ。この意味での政府の割合はGDPの10%~25%の間であり、20%が最適値であるとされる。
アメリカが大発展を遂げた時期は10%前後であったし、現在の香港やシンガポールも15%前後である。しかしヨーロッパ各国は50%を越える時期があり、その時は停滞していた。アメリカも現在は40%を越え成長率は衰えている。
ノルディック各国のように50%を越えているから必ずしも非効率に陥るわけではないが、基本的には大きな政府は厄介な規制を作るものである。
その規制の結果、米国では金融危機以来、個人事業主が2007年1080万人から2014年940万人と一貫して減少している。
■高級物件の価格上昇と低所得層の実質賃金マイナス
新築住宅は所得の中間値の6倍になっているが、過去の平均は3倍だった。また驚くべきに、上位1%の住宅価格は上昇し販売数は21.1%の上昇だが、下位の99%の販売数は-7.6%である。
新築住宅の320100ドルという価格は2/3のアメリカ人には手の届かない価格になっている。
サンフランシスコの高級住宅地は535万ドルで年間所得916000ドルの人が30年の固定ローンを組み、月々21369ドルの支払いを行う。しかし実際の高級住宅地の44.7%は現金で買われている。
見積もりによれば、典型的な家庭の生活費は年間5%ずつ上昇し、中間層の生活水準を圧迫している。
■貴金属は買い 利回りは過去最低で質の悪い投資
金価格は2013年に底を打って、今年はS&Pを上回っている。特にプラチナは上昇余地が大きいと考えている。仮に下落してもそれほど大きく下げないだろう。
一方で債券の利回りは1900年から見ても過去最低である。市場は米株の上昇が続くと思っているが、ヘッジの為にアジアやヨーロッパ株に移した。
米国債については質の悪い投資だと考えている。しかし1940年代から1950年代のように長い間低金利をつけるかもしれない。それは日本の1998年以降と同じようにだ。
しかしファンダメンタル的に見て、この10年債の利回り、フランス1.7%、スイス0.6%、日本0.58%は狂気だ。