1970年代に5年債に投資していれば10倍になった。株に至っては57倍である。つまり家計セクターは株、債券、不動産であればかなりの値上がり益を享受できた。
それとは対照的に今日では労働者の半分以上が1年に27520ドル以下の年収であり、大人の25%は退職後の資金が0である。また20%の家庭では1人も稼ぎ手がいない。
この過去に比較し現在の若い世代には資産形成のチャンスがないという指摘はなるほどである。我々の上の世代は、家も含めた金融商品に投資していればとにかく剰余資金が出来た。それで家や車、教育資金を都合してきた訳だが、いまの世代にはそのチャンスが無い。
その説明要因として普通の人には意識されないだろうが、実際に影響を及ぼしているのはやはり金利であり、景気変動である。
現在の中央銀行のは株価を下げない資産価格を下げない政策により若者は金融市場に参入するチャンスが無い。その一方で給与所得よりもインフレ率が先にあがり日々の生活は苦しくなっている。
金利収入も同じで、本来我々が得るはずであった金利所得も低金利政策により政府部門に移されているといえようか。
市場の中にいれば解るが外の人には、あって良かったはずのチャンスが無かったということさえ意識されない。
■資金マネージャーの心得
どんな資金でも顧客に属する資源のように投資すること。マネージャーは過剰な自信とパーソナルバイアス、制約、見解、制限、予想を過度に強調することを避け、全ての可能性に目を開いておくこと。
パフォーマンスダービーを避けること。機関投資家は相対パフォーマンスを競う。短期的には良いかもしれないが、間違ったリスクを取りやすい傾向になる。優れたパフォーマンスは決して長くは続かない。いつでもアウトパフォームするのは無理だ。
中央銀行はもっとひどい。反対意見は決して証拠に基づいているわけではない。さらに不都合な真実は故意に避けている。
■低金利政策の影響
2007年から2013年にかけてTop1%が富に占める割合は34.2%から35.2%に増加したが、Bottom50%は2.5%から1.4%へと低下した。これは-44.2%という変化になる。
家計所得の中央値は2003年の87992ドルから2013年の56335ドルへと低下した。
ゼロ金利政策は金利生活者を罰し、若い世代には住宅価格上昇によって購入を難しくさせている。
このような明らかな事態に対し、Fedのメンバーが資産バブルやその結果として低所得者を打ち負かしていることに責任を負っているということを聞いた事がない。
1924年からみて時価総額対GDP比は過去に2番目に高い水準にある。
世界的な低金利政策と高い資産価格の組み合わせは、20代30代に資産形成をさせるのを難しくさせている。
■今後の見通し
香港株や中国株は流動性が溢れているので20%くらい上昇するかもしれない。米国株は8月から年末のどこかで急落する。香港株などもこの流れの影響を受けるだろうが、相対的には優れている。
大きな問題はこの上昇トレンドが何のイベントを契機に反転するかということだが、それは質の悪い信用市場になるのではないか。
通貨では相対的にタイトな米ドルがユーロをアウトパフォームする。産金株は長い時間調整を強いられてきたので、年末にかけて40%上昇すると見ている。エネルギー関係も他をアウトパフォームする。
いずれにしても株式市場は脆弱であり、株のエクスポージャーは減らしドルに換えている。