2013/09/20

ストリート・スマート Jim Rogers(2) アジア 中国、シンガポール、ミャンマー、朝鮮、日本


今回はアジア。人口動態を見ていると中国も割合早く老けてしまうかなと思うのですが、それはあくまで数字であって、伸びしろや全体の勢いというのは我々の存命中はまだまだあるということなのでしょう。

確かにヒースローやJFKなどよりもチャンギであったり、香港の空港の方が綺麗で機能的ですし、またホテルも近代的なものであればアジアの方が上なんですよね。

アジアは人口がとにかく多いので今後も活気は続くのかもしれません。



3.アジア

・アメリカはリーダーシップを失いつつある。かわりに台頭するのがアジアだ

・19世紀の初めなら賢い人間はロンドンへ行っただろう。20世紀の初めならニューヨーク。21世紀はアジアへ向う。最初の千年紀が終わる頃はコルドバだった。

・世界で最も影響力のある国がイギリスからアメリカになったのは1920~1930年代のこと。金融危機と政治の不始末でリーダーシップは衰退の一途をたどったが、それに人々が気付いたのは20~30年後だった。

・アジアに暮らすようになって数年の私に言えるのは、ニューヨークの空港が第3番目の空港だということである。ニューヨークの5つ星ホテルはアジアのそれと比べたらお話にならない。インフラ、交通機関など何もかもがまるで比べものにならない。ニューヨークはもうこれ以上機能しない街だ。上海や香港やシンガポールに行けば、そこにはまったく異なる活力に満ちた世界が広がっている。

・中国もいつか失敗するだろうが、間違いなく成功への軌道に乗っているはずである。アジアにいると躍動が手に取るように感じられる。ドアを開けて外に出てみれば、自分は前向きなパワーに満ちた場所にいるという気分になるはずだ。

・世界最大級の債権国はアジアになる。中国、日本、台湾、韓国、シンガポール、香港。お金が集まり、ダイナミズムとエネルギーに満ちているのはこれらの国々なのだ。そこでは貯蓄率、投資率が高く、中国では30%を越える。アメリカは4%だ。1987年までアメリカは債権国だった。

・上海も香港もエキサイティングな都市だが、そこで話される中国語は主に広東語であり、標準中国語の北京官話ではない。シンガポールで話されている中国語は北京官話だ。

・シンガポールは世界最高レベルの教育制度が整っており、医療制度も世界屈指である。小学校では連絡と活動を英語でする週の次は北京官話だけ使う週になる。教師tうで使う言語は、算数なら英語、社会なら中国語と科目によって異なる。

・シンガポールがここまで繁栄した理由の一つが貯蓄率と投資率の高さだ。シンガポールでは貯蓄は強制で、国民は収入の20%を中央積立基金(CPF)に充てなくてはならない。20%のうち16%は雇用者負担だ。CPFは個人口座にあるお金個人のお金なので、国民はそれを医療や教育、住宅購入に充てることができるが、外車や夜遊び旅行には使えない。

・シンガポールはよほど深刻なミスでも犯さない限り、私が生きている間は繁栄していると思う。しかし急速な高齢化、出生率の低さ、不快なことがあると外国人をスケープゴートにするリスクがある。

・プーチンは独裁者だが、中国では毛沢東以後は独裁者はいない。中国のシステムではプーチンのような権力は手に入らない。

・中国人だろうがアフリカ人だろうがアメリカ人だろうが人間に腐敗はつきものである。だが中国人は、腐敗が露見すると実に容赦ない。当事者の投獄や死刑は普通で、しかもきわめて素早く実施される。

・困難な時代には誰もがスケープゴートを探し、外国人がその対象になるのがいつものパターンだ。中東でのスケープゴートは昔らからアメリカという慣わしなのである。

・シンガポールの若い世代は良い時代しか知らない。多党制民主主義に毒づいているのは、繁栄の中で育ってきた40歳以下の世代なのである。台湾も韓国も日本もそうだった。成功を手に入れている若い世代が政府を変えたいと願う。プラトンの言葉通りだ。何も今に始まったことではない。いずれ中国もそうなるはずだ。

・中国人は世界でも指折りの資本家だ。カリフォルニアの方が中国より共産主義的だし、マサチューセッツの方が中国より社会主義的である。中国で事業するのが好きという人達に大勢会ったが、それはいったん事業の許可が下りたらやりたいようにやらせてもらえるからである。その許可にしても取るのはさして難しくない。

・中国は十中八九景気後退をするだろう。指導層の頭がどれほど切れるとしてもしょせん官僚である。

・6000万人の人口、溢れんばかりの天然資源、訓練が行き届き教育レベルの高いミャンマーは投資のチャンスだ。

・北朝鮮の人々は明らかに祖国に変化を求めている。北朝鮮の将官はみな、30年前の若かりし頃、北京やモスクワや上海に駐在していたからだ。そして高官として現地に出向く。金正恩もスイスの私立学校で教育を受けた人物で外の世界にふれたことがあり、外で何が起こっているか知っている。

・北朝鮮と韓国が統一されれば、日本にとっては巨大なライバルが出現することになる。中国と国境を接する場所に7500万~8000万人の国が出現する。北には訓練された安い労働力と天然資源があり、南にはたっぷりの資本と専門知識、そして優れたマネジメント力がある。日本では事業にかかるコストがますます上昇しており、特に低賃金の労働力はもうあまり望めない。

・私たちが得ている情報のほとんどは、歴史が何らかの参考になるとすれば、間違いなく歪められている。

・北朝鮮が国を開放することによって利益を得られそうな中国企業かその他のアジア企業をみつけなくてはならないが、目下そういう企業は見つかっていない。韓国人の北朝鮮旅行は大きなブームになると思う。また韓国には若い女性が不足しているので、結婚も巨大ビジネスになるだろう。

・中国人を筆頭にアジアの人々の観光は今後急速に伸びていくだろう。私たちの時代で最も成長を見せる産業の1つになるはずだ。

・イギリス、ローマ、エジプト、中国はいずれもかつて偉大な文明であった。だが中国以外どの国も衰退、崩壊から立ち直っていない。

・日本は実験場になっている。出生率は世界最低レベル、平均寿命は世界最高レベルの日本では子供よりペットの数の方が多い。50年後、この国の人口の40%が65歳以上になる問題をさらに難しくしているのが日本人の島国根性だ。日本の外交人嫌いは世界屈指である。日本には非常に根深い人種差別がると国連も2005年に報告している。移民を受け入れようとはしていない。

**Fed、taperingせず

景気回復のより多くの証拠が買い入れペースの調整前に必要だとしてtaperingを見送った。最近のタイトな金融市場の状況は景気と失業率の改善に水を差すとした。Fedは景気を懸念し、低い長期金利を望んでいるようだ。したがって今後も毎月不動産担保証券を400億ドル、米国債を450億ドル買うことになる。またFedは2013年の成長率の見通しを2.5%から2.2%へ、2014年を3.3%から3%へ修正した。

**中国、不動産価格の高騰

北京、上海、深センの不動産価格は前年比で18%~19%の上昇を示した。全国では8.3%の上昇になっている。投資家やアナリストの中にはバブルの危険的水準に入ったと懸念を示すものもいる。過去4年に渡って政府は頭金の拡大、キャピタルゲイン税の上昇、購入できる数などを制限している。

**SEC、Pay ratioの公開を求める

CEOと従業員の給与の平均値のレシオを上場されている企業に公開するように求めた。この案は、金融危機の際に端を発するもので2010年のDodd-Frank法で要望されていた。しかし企業側は不公平で重荷になるとして遅らせたり廃案にしようとしていた。

Democratic 民主党
Republican 共和党