2014/04/10

職種別の需給ギャップをみてみた

飲食業のオーナーが人手不足という理由によって業態を維持できない、そんな記事をネットで読んだので調べてみた。数字は厚生労働省の職業安定業務統計に拠り、統計は平成26年3月28日付けであり(2月分)パートを除くである。

なお左が有効求人で真ん中が有効求職、右が有効求人倍率であり、単位は人と率である。

業種ごと

管理的職業 6164 6453 0.96倍

専門的技術的職業 336308 200145 1.68倍

事務的職業 120623 425850 0.28倍

販売の職業 161069 153112 1.05倍

サービスの職業 233685 150320 1.55倍

保安の職業 40207 8901 4.52倍

農林漁業の職業 7693 9652 0.80倍

生産工程の職業 146260 158247 0.92倍

輸送機械運転の職業 95186 58717 1.62倍

建設採掘の職業 92198 30238 3.05倍

運搬清掃梱包等の職業 61356 166182 0.37倍

まず目を引くのは建設業の人手不足と事務の供給過剰であろうか。統計の時系列を取っていないので高いとか低いとかはいえないのだが、事務業の0.28倍は驚きの数字だ。

問題のサービス業は確かに人手不足のようであるが、1.55倍がどのような数字なのかはちょっと解らない。清掃の数字が低いのは高齢者の求人が多いことを示すのだろうか。

職種別で特に目立つもの

では次にもう少し細かくみた場合に目立つところを見てみる。

建築土木測量技術者 51645 12218 4.23倍

情報処理通信技術者 47933 23636 2.03倍

医師薬剤師 12474 1415 8.82倍

保健師助産師 66318 21053 3.15倍

医療技術者 22175 7809 2.84倍

社会福祉の専門業 56026 32096 1.75倍

美術家デザイナー 7494 19411 0.39倍

専門職ではやはり医療系全般が高い。医師薬剤師の8倍台はこの統計では最も数字が高い。医師の超過勤務は良く聞くがその香りが数字から漂っている。逆に薬剤師は強く出れるという話も聞いた事がある。

土木や情報の技術者も不足しているが、大学全入時代でこの数字であるということは能力ギャップなのだろうか。ちなみに製造技術者は0.46倍と逆の様相を呈している。

専門職で唯一低かったのが美術家デザイナーで0.39倍になっている。

外勤事務 526 199 2.74倍

運輸郵便業務 2883 1536 1.88倍

事務系で高かったのはこの2つ。外勤勤務は数字が少ないので職業自体を見つけるのが難しいかもしれないが、求人も少ないので事務でと考えるならば狙い目なのか。運輸郵便は配達なのだろうか。確かに大変そうな職業だ。

金属材料製造 36480 25202 1.45倍

機械整備修理 21717 13146 1.65倍

製造業ではこの2つが高い。ブルーカラーでも熟練が必要な所では人が足りないというところか。それに対して組立や制御は低い。2分化されているようだ。

まとめ

うっすら見えてくるのは良く言われるように、熟練が求められる職業においては供給側が追いついていない現状である。一方で訓練がそれほど必要とされない職業ほど厳しい。

これは学歴というよりも就きたい職業と就きたくない職業の差なのかもしれない。端的に言えば汗をかく職業は人手不足ということになるだろうか。

数字のボリュームということを見れば専門職とサービス業が多く、なるほど第三次産業の時代である事が解る。

ひとつ危惧する点があるとすれば、農業も製造業も技術的に生産性が上がり人間が必要とされなくなった分野であるが、もし昨今言われているアルゴリズムの効果が現実的な事になれば、専門職に分類される職業も代替されていく可能性がある。

専門職だからといって胡坐をかいていると時代に持っていかれる可能性がある。

**Thanks for the feedback レビュー

著者はハーバード大学で法律の教える講師で、組織内の対立を解消するコンサルタントとしても働いている。我々は自分で問題の原因が解っていると思っているので、フィードバックをもらった時にそれらを建設的な意見として聞くことができない。著者はbutを使うのではなくandを使うこと、ネガティブなフィードバックをポジティブなフィードバックで挟む事を提案している。

**今回の中央銀行のタイトニングのパターンは過去と異なる

2004年-2006年は425bpの上昇だったが長期は動かなかった。1994年は政策変更期待を受けて債券は売られた。新興国の下落によって投資家は長期の金利と為替リスクを取っていることに気付いた。過去5年に渡り低金利が続いたことにより先進国でも債券が下落するリスクを抱えている。年金や銀行、保険といった会社は想像以上の金利上昇があった場合にどう対処するのだろうか。クレジットリスクもある。短期金利が低すぎることによるレバレッジを効かせたキャリートレードも蓄積している。バランスシートを縮小させるタイミングも難しい。金利の正常化を行うには難しい問題が多い。

**ブラジルの不作

ブラジルは1月に記録的な酷暑と旱魃に見舞われ、コーヒー、砂糖、オレンジジュース、大豆、トウモロコシといった農産物への影響が懸念されている。特にコーヒーは年初から60%価格が上昇している。豆も通常の年より小さく薄い。危機があるたびに毎回多少の誇張が入っているが、今回は本当にひどいかもしれない。大豆やオレンジは他よりは耐性があるようだ。