2017/10/18

201710 米 小売店

アメリカの小売店を調べて興味がでたので実際に見てきました。つまり出張です。

・ROSS ロスドレス

売れなかった在庫を買い取って売ってくれるオフプライスのお店。TJXに次いで2番手の存在。この形態はアマゾンプルーフ(アマゾンに耐性がある)とか。ユニクロの米国展開が苦戦しているのもこのオフプライス業態があるからとも言われているようです。



こんな感じで売っている。アメリカは元々日本からすると安いのに、さらにそこから安くなっているという感覚らしい。


ワイキキ店はところ狭しと陳列されている感じ。郊外店はもっとゆったりしている。レジの前にはなんだかんだ人がいてそれらりにお客さんがいる様子だった。

・JWN ノードストローム

いわゆるデパートが自分でオフプライスをやっている。10-kをみるとかなりな勢いで業態転換している。ROSSやTJXに比べると、いわゆる知っているブランドを扱っていて、普通に欲しいものがある感じらしい。

・TGT ターゲット


アラモアナのターゲットはやっていなかった。

・トイザらス

値段をアマゾンと比べてみたが決して劣っている感じではなかった。本業というよりもはやり負債が大きすぎたのが失敗の原因か。

・FL フットロッカー


ナイキの失速と共に苦戦している。お店は半分ナイキ、半分アディダスといった感じか。品揃えは普通。店員さんがレフリーの恰好をしている。


女性用。


FLは不採算店舗を閉じ始めているが、その中でKidsは確か店舗が増えていたはず。確かに子供靴だけはあまり競合がいなさそうで特色がはっきりしていた。

・GPS ギャップ


興味もないので写真だけだが、店内はそっけない感じだった。

・シーズキャンディ


バフェットを読むと必ず出てくるお店。向こうでは中の上くらいで贈答品需要があるらしい。店員さんも昔ながらの制服かつ年配の方で独特の雰囲気を醸し出していた。

・TJX


オフプラスの最大手。ROSSと比べるとアパレルだけでなく日用雑貨の割合が多かった。

・BBBY ベット・バス・ビヨンド


実際に行ってみるとベットじゃなくて、いわゆるデパートの調理器具コーナーの専門店といった具合。かなりの高収益企業だったがネットに出遅れたこともあり近年は粗利が減って大苦戦。お店もいままであぐらをかいていたのか、店舗改装費用が出ていない感じだった。主力商品がネットで注文しやすいのが厳しいかなぁ。

・WBA ウォルグリーン


いわゆるドラッグストア。CVSとWBAが大手。BBBYとは違って店舗は綺麗で品揃えも良く、かつ適度な広さで良い印象だった。ただしアマゾンが薬を販売するとか、薬価価格に低下圧力がかかっているので難しい局面を迎えている。

・WMT ウォルマート


ご存知世界最大の小売店。とにかくだだっ広い。なんでも売っている。洗剤などの量もとにかく多い。アメリカな感じ。たしかに安い。バナナが37セントで美味しかった。


最近はアマゾンと真正面からぶつかっている。IT投資とIT企業買収にバンバンお金を使っている。セルフチェックレジも便利だった。この辺に限らないけど、競争激化は結局のところ株主ではなく消費者の利益につながるので、アマゾンもウォルマートもたぶん大変なはずというのが読みなんですがどうなんでしょうか。

・SBUX スターバックス


スターバックスロースト。ここのところTEAVANAの減損や既存店売上の減速などが撮りざさされていますが、マクドナルドがなんだかんだいって未だに最高値を更新していること、基本的に相手がいないというのは強いかなと。とはいえネスレがブルーボトルコーヒーを買収したのでとりあえず相手になってくるかも。


米国内のスタバは結構飽和して近接店舗と共喰い起こしているのではないか、とこの前の決算でアナリストに言われていたがその返しとして影響は本当に微々たるものだし、米国にはドライブスルーがまだまだいけると発言していた。確かに車が列をなしていたので需要はありそうだった。

・ホールフーズ


最近アマゾンに買収された、高所得者層向けのスーパーマーケット。


タッパに詰め込んで、その重さ1オンス(450グラムくらい)で8ドルとか、サブウェイみたいに目の前でサンドイッチあるいはジュースを作ってくれたりと見ていて面白かった。


アマゾン効果。米国外の食品で効果が表れているようだった。



これも実際に行ってみてわかったが、いわゆるプライベートブランド(ホールフーズは365という呼称)の取り扱いが広範囲に渡っていたことには驚いた。トマト缶、シリアル、パスタ、洗剤、おむつなどなど。香辛料もPBで展開していた。

・BBY ベストバイ



いわゆる家電量販店。品揃えも概ねビックカメラと同じ感じ。店員さんは良く話しかけてくれて感じが良いが、扱っている商品が厳しい感じ。テレビはアマゾンと比べても安かった。全体的にテレビの価格は値崩れしている?サムスンとLGが多いかな。

・SHW シャーウィン・ウィリアムズ



少しマニアックになるけど塗装大手。日本人はあまり塗装とかはしないと思うけど、アメリカでは中古住宅でも上物にきちんと評価がつくらしくこういう需要も多いらしい。SHWがユニークなのは要はペンキを売っているが自社用の小売店を持っている点。よく商売やれると思うが確か全店で4800店舗規模。最近もかなりの増配を記録していた。商用の塗装のPPGとは棲み分けができていて、こういうの知ると10-k読んでいると楽しいなぁと思ってしまう。

・LOW ロウズ


いわゆるホームセンター。事実上アメリカではロウズとホームデポの2強。


とにかく家に関することであればなんでも揃っている感じ。ユニットバス、シャワー、タイル、木材、スプリンクラー、チェンソー、トイレなどなどなんでもある。生活スタイルが日本とは全く異なるんだなぁと。これだと一部の都市部以外ではニトリ、無印は難しそうだとなと。

・WDFC WD-40カンパニー


ロウズに防錆材のWD-40があって小躍り。少しマニアックになるけどこういった会社を知ると面白い。

・HD ホームデポ



全米最大のホームセンター。この企業は今までも傑出していたけど、最近も新規出店を控えてIT投資を積みあがている点。ネットで調べて、それがいまいる店舗のどこにあるかを表示してくれるかなど確かめられて面白かった。

LOWとセグメント的な違いでいうとHDはプロ向けが10%ほどLOWより高く30%~40%くらいあるらしい。確かにLOWの方が個人としては知っている商品が多かった。

店員さんが同じオレンジ色のエプロンをしていて統一感があったし、店員さん同士も仲良くやっていて、醸し出している雰囲気が良かった。かなり好印象。

・ヨーグルト

ここからは小売店ではなく商品とか陳列棚。




ゼネラルミルズがここのところ苦戦しているのは、主力のシリアルが低下傾向なのと、ヨーグルト(Yoplait)のシェアが新興のCHOBANIに奪われたこと。CHOBANIは二層構造でしっとりした感じで確かに美味しかった。

・チョコレート


HSY(ハーシー)とネスレの一騎打ち。それにマーズが続く格好。陳列もマーケットシェア通りで勉強になった。味は要はアメリカの味で、日本やヨーロッパのビターな味ではない。でも逆に言えば、この甘ったるさが参入小障壁なのかなと。問題は次の世代のミレニアルやジェネレーションZの味覚はどうなるんでしょうという話。アメリカ人の舌も洗練されるのかしら。

・歯磨き粉


PGとCL(コールゲート)の一騎打ち。ちなみにコルゲートのブラジルやメキシコのシェアは70%を超えている。

・洗剤とか


この辺はウォルグリーンで撮ったものですが、花王やライオンと同じように知名度が高い企業で陳列棚が埋められている感じ。CLX(クロロックス)の漂白剤があってちょっと小躍り。

・日焼け止めとか


J&Jも定番の絆創膏や日焼けどめなど抑えているところは抑えている感じ。もっともJ&Jの日用品部門は18%くらいだった気がするのでそれほど大きい影響力を持っていいない感じですが。

・その他食品


SPAMとかハインツのケチャップなどいわゆる定番品の棚。

・ポテトチップ


日本ではカルビー1強のポテトチップですが、アメリカでは最大シェアのペプシでも25%程度と競争の激しい業界。でも実際に見ているとペプシ(Laysなど)がかなりの棚を占拠していました。

・ビール


なんだかんだで地ビールを飲んでしまいますが定番は安定感が半端ないですね。

■感じたこと

・小売をするなら店舗改装は大事。
・アメリカでもPBが伸張してきそう。
・生活スタイルの違いは書類の上からは見えにくい。感じにくい。
・当然だが勉強してからいくと面白い。
・味を確かめようとすると太る