2013/07/17

昭和16年夏の敗戦

**中国の成長率は7.5%

政府目標を下回るのはアジア危機以来。減少する輸出と低迷する投資が原因。

**スペイン首相、退陣を拒否

不正資金疑惑により。景気後退が続くスペインでは政治の安定性だけが評価されている。

**Moody's、シンガポールの銀行セクターを安定的からネガティブへ

急速に成長するローンと上昇する不動産価格は将来的に銀行の資産内容を悪化させる可能性があるとして。ただし個々の銀行に関しては従来どおりAa1と最高評価のまま。

**日経平均は92円高の14600円

今週はバーナンキ発言待ち相場。


日本が開戦に向かう政治過程をつぶさに検証して行くと、これでよく開戦の意思決定ができたものだと、逆の意味で感心せざるを得ない。

日本はなぜ開戦に踏み切ったか P.212

今回の近代史会は『昭和16年夏の敗戦』がメインで、副読本に『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』という構成でした。

それで会に先立って本の内容をまとめようと何回か試してみたんですが、詳細に書くと情報量が多くなるし、おおざっぱに書くと色々なものが抜け落ちてしまいどうにもまとめようがなく当日を迎えることになってしまいました。

そのような状況で話していく中ではっとさせられたのは

『責任回避という命題は見事に達成されている』

という一言でした。

確かに言われてみると、これだけ年数を経た現在でもはっきりと誰が悪い、ないしは論理的にここで間違い、それについての責任は誰にあるとは簡単には言えない現状があります。

今回は熱気溢れる近代史会にしては珍しくモヤモヤ感がぬぐえない会になったのですが、その理由はどこを掘っても『部分』しかでてこないことに起因していたのだと思います。

しかしこの視座に立てば、意思決定の単位であるところの省の目的が、省益の確保と責任回避であると思えば、なるほどそれぞれの省の目的は達成されているんだなと。

この場合、国がどうなろうとそれは自分の問題ではないので関係ない。

回避したかったのは、戦争ではなくて、省が損失を被ることだったということですね。

決定をしなければ特定の省、個人が特定されないので後世となったいまでも誰が悪いとは言えない。

つまり目的は達せられている。

その一方で情勢はどんどん動いていっているので、それらに『備えるために』、陸軍は開特演(対ソ戦準備のために50万人を動員)や仏印進駐、海軍ならば戦争をするならば真珠湾の天候や艦隊比率、臨戦態勢まで持っていく期間を考えて10月から12月までにといった具合に実際の行動だけが積み上げられていく。

これをやっぱやめた、と言ってやめるのは心理的にも面倒くさい。

中国の駐兵問題なんかも簡単に妥協すれば今後もなめられる事が予想されるし、いままでの苦労も泡にある。これもはやり心理的には受け入れがたい。

戦争をしたら負ける。でも大きな譲歩をするのも嫌だ。責任は取りたくない。

まあそんなこんなで時間だけが過ぎていって、もうこれ以上時間を使うと不利になる一方だから、じゃあやるか、といった具合で戦争に行くということ流れだったんだなぁと。

意思決定をしないという不作為の意思決定の結果としての開戦という過程は、やっぱりどこまで行ってもモヤモヤしたものが残るということなのでしょう。

でもこれもよくよく考えると一個人でもあって、大事な問題は考えるのが大変だから先延ばしにしようとなんてやっているうちに、状況が変化していてそれなら最初から手をつけていれば良かった。そんな事と非常に似ているんでしょうね。