**Bernake、緩和策継続を強調
失業率は依然として高く、インフレ率もFedの予想よりも下回っているとして。また市場もFedのメッセージを理解しはじめており、ボラティリティも落ち着いていると発言。
**ウォルストリート、流行病とハッキングに対するテスト
前者は鳥インフルエンザ、MERSウィルスに対するもので30%の従業員が働けないと想定。11月に行う。後者はQuantum Dawn 2と銘打ちサイバーアタックに対するテストを行う。50社が参加。
**タイの米保護政策の行方
タイでは農家から市場価格の40%から50%高い価格で政府が米を買い上げ在庫が膨れ上がっている。その量は全輸入国の半分の量に値し、これらが放出されると米価格が崩れる可能性が指摘されている。
**日経平均は200円高の14800円
富士重と日光電が最高値を更新。米国株もバーナンキ発言を受けて最高値を更新。
伝奇集とあったので、幻想的な小説なのかなという印象を受けいたが、ところがどっこい科学的で非常に論理的だったので、楽しく読むことができました。
その中でも多次元宇宙論を切り口にして楽しく読めた話があったので書いてみます。
**多次元宇宙論
大学時代の研究テーマが小数点の次元や多次元を扱うものだったので、次元を扱っているという意味で宇宙論は好んで読んでいたんですが、その時の知識が今回の伝奇集を読む上で助けになりました。なにがどう繋がるかは事前に本当に解りません(そういえば偶然性もボルヘスの扱っているテーマだ)。
で、この本は前著の『エレガントな宇宙』で扱った超ひも理論 - 宇宙は11次元で成り立っている - だけでなくその他の泡宇宙であったり多世界解釈であったりと色々な宇宙論が取り上げられてるのですが、その中で多次元宇宙論、簡単に言えば我々の存在している宇宙の他に宇宙は10の500乗存在するという仮説が紹介されています。
500乗ってどのくらいだろうと思って調べてみると、兆で12乗、京が16乗、無量大数が68乗、宇宙全体の原子の数が80乗から100乗の間だそうです。想像しにくいかもしれませんが、1乗増えただけで爆発的に可能性が増えるので実質的になんでもありなんですよね。
そんな世界観を持ってたとえば『バベルの図書館』を読んでみると、
広大な図書館に、おなじ本は二冊ない。彼はこの反論の余地のない前提から、図書館は全体的なもので、その書棚には二十数個の記号のあらゆる可能な組み合わせ - その数はきわめて膨大であるが無限ではない - を換言すれば、あらゆる言語で表現可能なもののいっさいをふくんでいると推論した P.108
なんかは非常にとっつきやすくなります。それからその次の『八岐の園』の
たがいに接近し、分岐し、交錯する、あるいは永久にすれ違いで終わるこの時間のこの網は、あらゆる可能性をはらんでいます。われわれはその大部分に存在することができない。ある時間にあなたは存在し、わたしは存在しない。べつの時間ではわたしが存在し、あなたは存在しない。また、別の時間には二人とも存在する。
も同じように読めるかなと。ボルヘスは時間を重視しましたが、多次元の場合はもっと他の次元も存在するのでその点はちょっと違う部分かもしれませんが。
500乗ある宇宙のうち人間が存在できる、宇宙定数であったりなんなりの物理法則がある宇宙がたまたまあったという仮定に立つと、偶然も必然なんだかとか色々考えてしまいますね。
ここらへんは人間原理 - 宇宙が人間に適しているのは、そうでなければ人間は宇宙を観測し得ないから - とかに繋がるところです。
全体を通しては、論理的な推論から着想を得て物語を作成し、科学や宗教を論理的に皮肉ってひとつひつつ棄却していく構成なのかなと思いました。
最後に他に面白かった部分を少しだけ。
**ピエール・メルナール
時代によって言葉の解釈は変わるというテーマを基に、そしらぬ顔をして同じ文章を掲載し真面目に論じているのがアホらしくていい。
**円環の廃墟
たぶんバシレイデスの宇宙生成論に着想を得ているんだと思いますが、そういった神学の論理的な部分を小説にする発想とか腕が素晴しい。
**バビロニアのくじ
くじが全部あたりという面白い発想から徐々に偶然を取り込んでいく世界の描写とか舞台設定が素敵。なぜだか解らないけど、一番印象に残る作品。
***バベルの図書館
科学者、哲学者(あるいは還元主義者、あるいはボルヘス自身も)、タダの馬鹿をそれぞれ指弾するくだりがいい。
**裏切り者と英雄のテーマ
ボルヘス自体もノーランの筋書きに組み込まれたという構図、円環でしょうか。過去の作品に対する扱いといったテーマはアル・ムターシムと同じものかな。
**ユダについての三つの解釈
遠藤周作の沈黙を思い出します。人間の自己正当化というか論理を見出す力はすごい。