2013/08/15

自省録 マルクス・アウレリウス・アントニウス


「この胡瓜はにがい」棄てるがいい。「道に茨がある」避けるがいい。それで充分だ。「なぜこんなものが世の中にあるんだろう」などと加えるな。

これは良い本です。

著者のマルクス・アウレリウス・アントニウス(121年~180年)の在位期間は161年~180年。いわゆる五賢帝時代の最後にあたる。五賢帝とはネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アトニヌス・ピウス、マルクス・アウリウスの事を指し、ギボンがネルヴァの96年から180年までの期間を最も幸福であった期間と称した時代になる。

パルティアとの戦争には勝利しながらも、ゲルマンや諸民族との戦いは長期戦になり自らも陣中で多くを送った。

自省録は公開を前提したものではなく、自分のための覚書のようなものである。したがって本文中の「君は」となっている部分は自分に対して向けられたものになっている。

プラトンの時代から理想とされてきた「哲人皇帝」を体現した人物であり、ストア派哲学に連なる。

内容としては目新しいものではないが、それらを皇帝という立場で実践した点が特徴にあたるようだ。

大きな主張点は下記の三つ。

1.人生は有限であり短い
2.1により自分の人生を生きる
3.自由にならない事柄についてはこれを避けないこと


**自分の内は他人によって傷つけられない

時間の有限性、つまり死を意識することによって、自分の行いたいことを他人に構わず追求することが説かれています。

君の指導理性はいかに自分を用いているか。この一事に万事がある。そのほかのことは君の自由意志の下にあろうとなかろうと、死と煙にすぎない。

これが大前提となっています。「自分を用いる」という点がポイントですね。またこの際に

我々の自由にならぬ事柄にたいしてはいっさいこれを避けようとせぬこと

とし事実を受け入れる事によって、避けがたいものに関してはそういうものだという態度を取ることが求められます。またこれを前提した場合の他人についての考えが素晴しいです。

間もなく彼らも君も死んでしまう。またなによりもまず彼は君に少しも害を与えなかった。なぜならば、彼は君の指導理性を以前より悪くしなかったから。

他人が自分に対して何かを働いたとしても、己の考えを強制的に変えられるということはないのだから、彼らを悪く思う必要はないと考える。一時が万事、自分がどう考え行動するかという点が最重要であり、それらが犯されない限りはその他の事は基本的にはどうでも良い事柄であるとしてしまう。

この考え方はかなり堅牢性が高くて実用的だと思います。日々、どうしてAなのかBなのか、その理由はなになのかなどと考えることは楽しいことではありますが、一方でどんどん自分から考えが離れてしまう。そんなことをやっているうちにいつまでたっても大事な事は実行できなし、死も確実に迫っていることになる。

時間は有限で残り少ないからこそ、諸事に構わず自らが行いたいことを行っていく。単純ですが死の必然性からすれば、それと同じくらい確実なことなのかもしれません。

修身教授録で紹介されていた本ですが、こちらもそれと同様に定期的に読み返したい一冊になりました。私も自省録書こうかしら。

隣人がなにを言い、なにを行い、なにを考えているかを覗き見ず、自分自身のなすことのみに注目し、それが正しく、敬虔であるように慮る者は、なんと多くの余暇を得ることであろう。

想像力を抹殺せよ。時を現在に限れ。最期の時を考えよ。

善い人間のあり方如何について論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ。

理性を奴隷の状態に置かない。自分のうちに集中する。自己に敬意を払う。終局の目的に向って急げ。

あらゆる行動に際して、ただ自己にたいして美しくあろうということのみが君の唯一の関心事であり念願でなくてはならない。

外側から起こってる事柄に関しては、それが偶然によるか、または摂理によるかのいずれかであることを考え、偶然を責めることも、摂理に罪を帰することもしてはならない。

君は多くの無用な悩みの種を切り捨てることができる。

君は善意にみちた態度を取り、尊大な風をしてはならない。ただし人間各々の価値は、その人が熱心に追い求める対象の価値に等しいということを理解していること。

つまずく人びとをも愛するのが人間の特権である。これに到達するにはつぎのことを考えればよいだろう。彼らは君と同胞であり、無知のために知らずして罪を犯してしまったのである。

理性的市民的動物の悪と善とは、受身の状態に存するのではなく、行動の中に存する。それは彼の美徳と悪徳とが受身の状態に存するのではなく、行動のなかにあるのと同様である。


**司法省、American Airlines'とUS Airwaysの合併に待ったをかける

合併をすると国民の選択肢が狭まると同時に、料金の引き上げにつながるとして。American Airlines'は3位、US Airwaysは5位で合併すればUnitedとDeltaを抜いて1位になる予定だが、これ以上話を進めるのは難しいようだ。

**マリ大統領選でKeitaが再選

40%近い得票を得て再選。北部のTuaregは自治の拡大を要求し、イスラム勢力も去年反乱を起こすなど取り組むべき問題も多い。選挙自体は準備の割にはスムーズに進んだ様子。フランスはイスラム勢力を駆逐する為に去年介入したが、今年の終わりまでに3000人の兵士を1000人まで減らしたい意向だ。

**みずほ証券、海外利益の拡大を狙う

社長がFT紙に英語のインタビューに応えている。みずほ銀行の顧客の海外でのシェア拡大に貢献し、2012年の250億円から2015年には450億円にしたいと望む。合併や買収ビジネスはヨーロッパや米国の銀行が支配している。みずほの名前を知ってもらえるようにがんばるとのこと。

**日経平均は183円高の14050円

午前中一杯下げ、午後になりそれらを払拭するように今度は上げに転じる良く解らない日。JNJが崩れる。これは要注意かも。