2013年9月30日月曜日

老人と海


薄いということもあって昔読んだ記憶だけはあったが、内容はすっかり忘れていたので今回も新鮮な気持ちで読むことができた。

1.自己規定の方法が珍しい

まず第一に思ったのが、珍しいなということ。文学は悩みとそれを解決していく過程があるが、本作の場合はそれがすぐに肉体に直結している。うじうじしていない。行動する。

自己の規定のしかたも

おれたちは、こうしていま一緒にいる。昼以来ずっと一緒にいるじゃないか。おたがいひとりぽっちで、だれも助けてくれるものもないってしまつだ。漁師なんかにならなければよかった、老人はそう思う。いや、ちがう、おれは漁師に生まれついているんだ。

罪のことは、そういう連中に考えてもらったらいい。お前は漁師に生まれたついたんだ。魚が魚に生まれついてるようにな。

あいつはお前とおなじに、生きた魚を食って生きているだ。

現実そのものをそのままに受け入れている。この視点は先入観なしで世界を観察する理系的視点ともいえるし、アレックス・カーが言うリアリズムともいえるし、禅的な考え方とも言えるかも知れない。

2.男性的な作品

解説にもあってそうそう思ったが、極めて男性的な作品というのも印象的です。

おたがい、こうなるのを待っていたんだ、とかれは思う。さあ、いこうぜ。

だが、今までにもこれより辛いことはあった。

これまで何度も何度もそれを証ししてみせてきたのだが、そんなことはどうでもいい。老人はいまふたたびそれを証明しようとしている。何度でもいい、機会はそのたびごとに新しい。昔の手柄など、老人はもはや考えていない。

おれはやつを動かした、と老人は声をあげた。とうとう動かしたぞ。

戦闘が終わったら、あとは下司の仕事がうんとこさ待っているさ。

お前が魚を殺すのは、ただいきるためでもなければ、食糧として売るためだけでもない、と彼は思う。お前は誇りをもってやつを殺したんだ。

お前はあまり遠出しすぎて、自分の運をめちゃくちゃにしてしまったんだ。

漫画ならひょっとしたらすんなり受け入れられる表現なのかもしれませんが、文学だとちょっと面白い感じです。

何れにしても、なよなよしている主人公が多い中、こういった文学もあるんだなと知れたのは良かったです。

3.解説のまとめ ヨーロッパ文学とアメリカ文学の違い。ヘミングウェイ

最後に、解説が素晴しかったので簡単にまとめてみます。

近代の個人主義は他人とはちがうという自意識を求めた。近代ヨーロッパ文学はそれに応えて登場し、精緻な心理描写を発展させた。

自分だけに書かれた複雑な感情を目にしたとき読者は喜び感動する。しかし同時に多くの人がそれを思うことは矛盾していた。

つまりヨーロッパ近代文学は個性を発見し、描き出し、個性的であろうとして行き詰ってしまった。

『意識の流れ』は対象AとBの違いを見出せないならば、AとBを眺める主体に個性を求めたと言える。これは絵画のシュールレアリスムなども同様である。しかしそうなると個性的である為には芸術家である必要が求められてしまう。

個人主義の限界に行き詰ったヨーロッパ文学に対して、アメリカ文学には現実に対する大きな信頼がある。それは空間への脱出への希望が決して彼らを絶望させないことにある。あらゆる社会問題は解決できる問題としてのみ存在する。

ヨーロッパでは社会は常に個人の意識を阻害するものとして存在し、解決不可能なので人はそれにぶつかると内にこもる。

アメリカ文学の通俗性は、問題はあるが人間はいないことにある。登場人物に個性がないので、人間の結合のしかたについても自由であり、また離れるのも簡単である。つまり人間関係も空間の原理が働いている。縦に深い歴史的背景を背負っていない。

閉じられた世界の人間にとっては、この彼らの持つ善意に共感しにくい。

ヘミングウェイは精神とか思考とか自意識とかいうものを、いっさい認めないのが、その否定のしかたが、精神を精神によって、思考を思考によって、自意識を自意識によって否定するのではなく、それらすべてを肉体や行動への無意識的な信頼によって否定している。

善も悪もない、勝ちぬき、生き抜くこと、これがヘミングウェイの登場人物の掟のようにみえる。独白や心理描写は単純明快で、常に外面的行動に直結している。

ハードボイルド・リアリズム=非情の写実主義は、目標を持ち得ないこと、あるいは、理想に裏切られたことについてのいささかのセンチメンタリズムも見られない。しかし救いがないというのは思想がないということであり、倫理がないということだ。

長編は思想的背景がないと緊張した構成美を得られないが、短編は人生の一断片を未解決のままに冷たく描くことができる。ヘミングウェイは短編の方が素晴しい。長編は徒労のエンターテイメントだ。

生前に発表された最後の小説である『老人と海』は、それまで否定の後を肉体的情念で専ら埋めていたのとは違い、それを精神的に肯定することによって倫理への路を開いた作品と言える。

**投資助言サービスは意味が無い

Oxfordのチームは年金やその他の大きな運用機関がコンサルタントに支払っている投資助言サービスは無駄であるとの研究成果を発表した。1999年から2011年におけるコンサルタントは他のファンドと比較し-1.1%と低かった。米国では13兆ドルと年金基金の82%がサービスを受けている。サービスを受ける理由は意思決定の盾にするか、単に正確か否か解っていないとしている。

**ABCDの多角化

Archer Daniels Midland、Bunge、Cargill、Louis Dreyfus Commoditiesの農業グループは価格の変動に適応するために多角化を行っている。Cargillは12月にCEOが交代するが4000万ドルを投じてロシアのマックナゲットを供給する態勢を整えている。Bungeは採算の合わない施設を止めた。ADMはバイオ燃料を推し進めている。

**日経平均は39円安の14760円

一部の売買代金は2兆0402億円。マザーズは1287億円。米国ではデッド・シーリング問題。