2013年9月7日土曜日

マハン海上権力論史(The Influence of Sea Power upon History,1660-1783) アルフレッド・T・マハン


過去の歴史を研究すれば、成功と失敗の中に原則が見出される。

海軍戦略を語るとき欠かすことの出来ない本で、秋山真之も留学中には著者のマハンに師事している。

一般にはどう間違ったか大艦巨砲主義の元祖みたいな感じで広まっているが、この本の内容を読む限りまったくそういったことはなかった。むしろ戦術は時代に拘束されるのでいくらでも変化しうるということを明言している。他の著述に大艦巨砲主義的なことが書いてあったとしてもこの文脈に沿ったものだろう。

本の構成としては前半でシーパワーについて、後半で1660年からの歴史を主に海からみた視点で書いている。ごちゃごちゃした時代だが視点を海側に移すことによって意外に理解しやすい点もあった。

1.戦争の諸条件は変わるが、普遍的な原則はある

2.シーパワーの構成要素

3.色々な抜粋




1.戦争の諸条件は変わるが、普遍的な原則はある

戦争における諸条件の多くは兵器の進歩とともに時代から時代へと変わっていくが、その間にも不変で、したがって普遍的に適用されるため一般原則といってもよいようなある種の教訓があることを歴史は教えている。

歴史の教訓が一層明白でかつ不変の価値を持つのは、戦争全域を包含するより広い作戦、または地球上の大部分をカバーする海上の戦争の場合である。つまり戦闘の実施よりも、むしろ海戦の実施に関係する。

歴史上のすべての戦術体系と同様それらにはそれらの時代があった。したがって現在学生にとってそれが有用であるとうよりは、むしろ精神的な訓練をする点、正しい戦術的思考の習慣をつけるという点で有用である。

2.シーパワーの構成要素

海に面した諸国の歴史は、政府の俊敏さや先見性によるよりも、むしろ、位置、領土の広さ、地形、人口、国民性、一言でいえば自然的条件によって大きく決定されたきた。

シーパワーの構成要素については以下のようなものがある。簡単に触れてみる。

a)地理的位置

イギリスは国力を専ら海上に向けることが出来た。しかしオランダは背後にフランスを抱えていたため、陸軍を維持せざるを得ず早期に国力を消耗した。

フランスは大西洋と地中海の両方に接しているが、艦隊はジブラルタル海峡を通過しないと結合できない不利があった。

また地理が兵力の集中を容易にするだけではなく、仮想敵に対する好基地を提供する場合もある。敵または攻撃目標に地理的に近い利点は通商破壊において最も明瞭だ。

b)自然的形態

フランスは気候が良く農産物が多く取れた。それに対しイギリスは自然の恩恵が少なく、その欠乏のために海外へと導かれた。

オランダも貧困が故に海に飛び出し、そして繁栄した。オランダはバルト海、フランス及び地中海の中間にあり、かつドイツの諸河川の河口にあるという地理的位置に恵まれて、ヨーロッパの運送業のほとんど全部をすみやかにその手中に収めた。

しかし自国に必要な資源をすべて外国に依存している国は、本国の繁栄は海外における自国の勢力維持にかかっていると言える。

スペインは離れている部分を強力なシーパワーによって結合しなかった時の分離の弱点について印象的な教訓を残した。

c)領土の範囲

シーパワーの発展に関して考察すべきは、国の総面積ではなく、海岸線の長さであり、その港湾の特性だ。

海岸線の長さは人口の多少に応じて弱点とも強点の因ともなる。南北戦争時の河川は南部に富をもたらした一方で、敵軍が侵攻する経路ともなった。

d)住民の数

とりあえず海上における仕事に従事するもの、少なくとも艦戦勤務に使えるもの、海軍用資材の建造に使えるものの数である。

フランス革命時の大戦争の時、フランスはイギリスに対して人口は遥かに多かったが、シーパワー一般、すなわち平和的通商ならびに軍事的能率においては大きく劣った。

1840年にフランスは21隻の戦列艦しか用意できなかったが、それ以上の海員登録名簿者を集めることができなかったからである。

これは表層以上に大きな差である。というのも平時の海上大商船隊は必然的に乗組員のほかに、海軍の艦艇装備等の建造修理を容易にするいろいろな仕事に従事したり、海洋とかあらゆる種類の船に対象とも密接な関係ある他の職業に従事する多数の人々を使用するからだ。

予備力は大切だ。

e)国民性

シーパワーが真に平和的で広範な通商に基づくならば、商業的な仕事に向いた素質こそ、海上で雄飛した国民の顕著な特徴であるはずだし、歴史もほとんどこれに例外がない。

違いは富を求める方法にある。スペインやポルトガルは地中から金を採掘することにより富を求めた。フランス人は倹約、経済、貯蓄によって富を求めた。また金持ちは貴族の栄誉にあこがれ、もうけの多い仕事を捨てた。虚栄心ともいえる。

イギリスやオランダはそれらに対して、富の源泉であるところの職業に富そのもに与えられる栄誉と同じ栄誉が与えられた。

f)政府の性格

イギリス海軍の管理面における実行力の効率の向上は両院における頻繁な質疑に負うところが多かった。またこのような貴族階級は当然のこととして軍事的名誉心を受け入れて保持した。

この軍事的名誉心は軍事制度がまだ整っておらず、後のいわゆる軍隊精神に変わるものがまだ軍事機構の中に十分備わっていない時代には最も重要なものであった。

そしていずれの時代にも国民の最下層出身の提督が見られた。この点、イギリスの上流階級気質はフランスの上流階級意識とは著しく異なっていた。

オランダは商業貴族と呼ぶのにふさわしく、戦争には反対で、戦争準備に必要な経費を支出することを惜しんだ。節約が彼らの名声と貿易を大いに傷つけた。

フランスはコルベールの施政下の数年間で、体系的かつ中央集権的なフランス流のやり方で海軍を育成した。一時はイギリスも凌いだが、政府の支持がなくなると急速にしぼんだ。フランスは陸軍力によって領土拡張をする方を選んだのである。

3.その他

・艦船は集中して使用する。通商破壊の場合は逆に分散させる。

・遠い場所で戦うには安全で大きな根拠地が必要である。

・通商破壊を効果的に行うには戦隊によって、相手の主力を引きつけておく必要がある

・国家は人間と同様にいかに強力であっても、外部からの活動や資源から切り離されたときは衰微する。そして他の諸国民と交通し、自国の力を更新しうる最も容易な道派海である。

・人間の心は、状況に対処する不朽の原則によるよりも状況の推移によってより印象付けられると思われる構造になっている。

・危急の間に直感的に適当な行動を取りうるような才能は、多少の差はあれ、それは経験によるか又は反省によって得られるものである。もし経験と反省の両者を書いておれば、何をすべきかが解らず、または自分自身の徹底的献身と指揮が必要とされていることを理解することができない。

・もし海軍の戦争が陸上の軍事拠点のための戦いであるならば、艦隊の行動はその拠点の攻防に従属しなければならない。もしその目的が海上における敵の勢力を撃破し、敵のその他の領土との交通線を遮断し、敵の商業上の富の源泉を枯渇させ、敵の港湾の閉鎖を可能にすることにあるならば、攻撃の目標は海上における敵の組織化された軍事力、要するに敵の海軍でなければならない。

・海軍は本質的に軽快部隊である。海軍は味方の諸国間の交通線を自由かつ安全に維持し、敵のそれを遮断する。

・シーパワーはイギリスを豊かにし、次いでイギリスに富をもたらした貿易を保護した。イギリスはそのお金でもって、同盟国が死闘を続けていたときにこれを支援した。機動力によってイギリスの兵力は増強され、一方敵の兵力は悩まされた。


**オバマ、シリア攻撃再考を促される

サンクトペテルベルグで行われているG20でシリアに関して各国が様々な反応を示している。中国は原油価格が上がると世界経済に悪影響を及ぼすとし、ヨーロッパ評議会は国連プロセスを重視し軍事行動ではなく政治的解決を図るべきだと述べた。イギリスのキャメロン首相はサリンが使用されたかテストをするとした。プーチンとオバマの会談は予定されていないが、時間は作られそうだ。

**Ford、危機前の水準へ

Fordは今後数年間のうちに1600万台の販売台数に達するとの見通しを示した。安定した経済成長、低金利、原油価格の下落、それに抑えつられていた需要が回復の原因だという。またヨーロッパの不振はエマージングマーケットの拡大で相殺されている。アメリカでの車の寿命は11年である。

pent-up 抑えつけられた

**アベノミクス、円取引を活性化

3年前は1日あたり4兆ドルの取引が2013年には5.3兆ドルに増加し、そのシェアも19%から23%へ増大した。一方でOTCの金利デリバティブはロンドンが未だその半分以上占めていることやシンガポールが世界で第三位の通貨取引の国になっていることを示している。