2013/10/22

主戦か講和か(7) 45年4月小磯内閣の退陣 鈴木貫太郎内閣の成立 阿南の陸相就任


杉山陸相と梅津参謀総長に対する説得は、二人が態度を留保していたので、不発に終わり陸軍を戦争終結へと移行させることはできなかった。

重光と杉山・梅津との意見の相違は、早期和平か本土決戦後講和かという点になった。陸軍首脳がこう主張したのは、内心は早期和平を念じつつも、陸軍特に省部中堅層と盲進的抗戦熱に押されて、陸軍の首脳という立場上、何とか一度米軍に反撃を加え、そこに有利な終戦の機会を捉える一撃決戦論を表面に出していることにあった。また主戦派の暴発を恐れていた。

45年4月7日に小磯内閣は倒れ鈴木貫太郎内閣が成立する。陸相は杉山から若手の人望を集めいてた阿南惟幾に交代し、松谷は内閣と陸海軍の連絡維持のため、陸相秘書官から首相秘書官に転じた。海軍大臣は米内、軍令部総長は豊田になった。

阿南は梅津と同じ大分連隊出身で梅津に教えを乞う立場であった。また酒井と同期であった。陸軍外の早期講和派からは支持され、また若い将校、主戦派の若手などからも人気があり期待されていた。阿南は就任当初から早期講和と主戦の両立場を使い分けて、軍の統制に苦慮していた。

45年4月ヒトラーは自殺し、5月7日にドイツは連合国に無条件降伏した。ただし日本にはヒトラーは戦死と伝わっていた。

松谷は梅津に対して、人事は詳しいが作戦は駄目、次期政権に野心があり、最後まで発言しないと批判的であった。したがって決断力のある阿南の説得の方が有望であると判断し、阿南を説得したのちに梅津を追い込めばよいと考えていた。陸軍内部で心配していたのは、阿南陸相が切り出したときに、梅津総長が反対することで、この場合は部内が真っ二つになる恐れがあった。

45年5月22日に松谷は阿南と講和条件について話しあった。松谷はソ連仲介による戦争終結へと移行していこうと阿南を説得し、これに対して阿南は異存なしと同意した。本土上陸決戦に対する自信を和戦の鍵にとしているのは、本土決戦が不可能であると主戦派に悟らせることが、戦争終結を勝ち取る要因になると早期講和派が判断していたからである。

本土決戦構想は45年1月に帝国陸海軍作戦計画大綱が策定され、本格的な準備が始まっていた。大兵力の動員とともに、本土決戦以外の全作戦が時間稼ぎとされ、この構想の下に位置づけられた。米軍は45年11月に南九州に上陸するオリンピック作戦46年3月に関東への侵攻するコロネット作戦が予定され、大本営もまたこれを予測していた。

松谷は国策転換には聖断が必要と認めながらも、同時に陸軍首脳が責任を取れば軍内部を収めることが可能であると考えていた。しかし陸軍外には、陸軍首脳を説得しても果たして戦争終結にうまく導けるか危ぶむ見方も存在していた。

海軍の高木は梅津は個人的な対談では和平論に賛成していたが、結局ムッソリーニを退陣させ無条件降伏をしたバドリオ総長の責を取るのに耐える事ができなかったと評している。また阿南については複雑な部内事情をかかえており、表面強硬な決戦論を主張した哀情には同情をしている。

陸軍秘書官に転じた林は阿南は継戦と和平の両方であり二重人格を備えていたと感じていた。このことから梅津や阿南は主戦と早期講和という二つの立場を使い分けていたのが解る。

松谷はこの頃は次第に早期講和路線に向いつつあるのが明らかであり、中間派が多数でその中身も早期講和派寄りに推移し、抗戦意欲は少壮青年将校に逐次移りつつあることを感じていた。

当時の陸軍で戦況悲観論は多人数の集まりや公的な会合では聞くことができなかった。そのような場合には、きまって本土決戦により、ぜひとも勝たなくなくてはならぬという意見に終始した。その理由として、軍人である以上、撃方止めの命令が下るまで、戦意を旺盛にし戦勝獲得のため、あらゆる努力を傾倒すべきであるとの信念によるものであった。

45年6月6日と8日は最高戦争指導会議と御前会議が開催され、本土決戦構想が国策として決定された。

しかし梅津は6月11日に天皇にはそれまで中国戦線は戦力が充実している主張がなされいたが、その実態は在満支兵力は米国の八個師団相当の戦力しか有せず、しかも弾薬保有量は近代式大会戦では一回分しかないと、思い切った上奏をしている。この時、主戦派への配慮からか、記録に残らないように口頭で報告している。

満州の関東軍精鋭部隊も、南方作戦に引き抜かれすっかり弱体化していた。この梅津の報告は実質的に本土決戦は不可能であると天皇に告白しているのと同じで、参謀総長がその点を認識していなかったことはない。

阿南は継戦派に自分の考えを悟らせないように注意しながら最後に時機が来たら急に講和へもっていくという腹芸をやっていかなければならない苦労を抱えていた。

**反ティーパーティーの動き

政府の封鎖を巡って共和党はティーパーティーを牽制する動きを見せている。今回の政府封鎖は経済界からの支持を得ることができなく、ロビー団体も戦略を見直している。中間選挙は2014年の春に始まる。

**レンタルホーム債券

これから数週間以内に、BlackstoneとDeutsche Bankが家のレンタル収入を基礎とした債券の発行をするだろうと見られている。銀行はこの技術は新しいアセットクラスとなり、プライベートエクイティ、ヘッジファンドに投資機会を与えるだろうと考えている。差し押さえ率は2010年のピーク時の半分となっている。

**ベネズエラ、通貨切下げに直面

ベネズエラは950億ドルの石油収入がある一方で、450億ドルの海外負債がある。ここで問題なのは外貨準備が210億ドルしかないことだ。しかも金を大量に保有していることにより、流動性があるのは20億ドルしかない。公式には1ドルは6.3ボリバルだが、ブラックマーケットでは50ボリバルである。2027年償還の債券利回りは9%から12%へと上昇している。12月8日に選挙があるが、大統領はん人気を取るか、経済を取るかを選ばなくてはならない。