2013/10/02
資産防衛アニュアル
事象そのものは起きるか起きないかは解らない。しかしリスク、それも多大なリスクが内包されているからには平和な時期から準備しておく必要がある。
準備が大事とはどこでも言われていること。億劫だし徒労に終わるかもしれないが、それがリスクをヘッジするコストということになる。
本書では実際にどういった商品があり、どういった動きをするのか、そこにはどのようなリスクがあるのかを紹介している。可能であれば知っているだけでなく実際に動かす練習をしておくのが良いと思う。
1.主旨
・日本の財政がたとえ破綻に向っているとしても、当分は金融資産を普通預金で持っていれば良い。
・日本の財政が破綻したとしても、手近にある金融商品だけで資産のかなりの部分を守ることができる。
・たとえ海外投資をする必要があっても、ネット銀行の外貨預金でじゅうぶんだ。
・いたずらに不安ばかりが大きいと、その不安心理を利用とする人達に利用される
・とはいいつつも、日本人はリスクについて余りも無防備だ。また合理性も軽視しすぎている。
2.シナリオごとの投資先
1.楽観シナリオ 経済成長
固定資産からの利益が大きいので、その他でリスクを取る必要がない。普通預金。
2.悲観シナリオ デフレ・円高が続く
デフレが続くので普通預金がベスト。
3.破滅シナリオ 国債の暴落と高いインフレ 財政破綻 金融危機
段階により対策が異なる。
3.1.国債価格が下落し金利が上昇
金利が上昇するので普通預金でも良い。
3.2.円安とインフレが進行し、国家債務の膨張が止まらなくなる
国債ベアファンド → 国債の下落に投資
外貨預金、外貨MMF → 円安対策
物価連動国債 → インフレヘッジ
3.3.国債のデフォルト IMFの管理下へ
海外銀行の外貨預金 → 日本国の法律外へ
日本国債ベアETF → 円安と国債価格の下落に投資
・ベストなのは、海外の金融機関を通して日経平均の下落や円安に、国債価格の下落にかけること。
以下はメモ。
・ユーロ危機が突きつけたのは、構造的な問題は現実するという冷厳たる歴史法則。
・レバレッジをかけたファンドは、基準価額がマイナスにならないように設計されている為に、普段は右肩下がりになる傾向がある。しかし一方方向に動き出すと指数関数的に動くようになる。
・国債下落ファンドはスーパーボンドベアオープン3(野村アセット)と日本債券ベア(T&Dアセット)の2本。ただし実際に激しい金利上昇局面を経験した訳ではないのが想定どおりいくかはわからない。
・公的年金はインフレに応じて支給額が増える設計になっている。
・国内にいてもレバレッジを使用して保有財産のヘッジは可能
・資産運用で大事なのは、金融機関が熱心に勧誘する話はすべて無視すること
・FXでレバレッジを使って円安にかける場合は、スワップ金利に注意する。金利が上昇しているので支払い金利が大きくなっている。
・物価連動国債も名目利益に課税がかかってくるので注意が必要。
・公社債投信の譲渡益は非課税
・預金封鎖のもっとも簡単なヘッジは、海外の金融機関に資産を移転する事。
・NYSEに上場されているJGBS、JGBDはドル建ての日本国債ベアETFなので効果的。
・金利0%の時の国債価格は160円。2%で136円。5%で108年。10%で72円。
・購買力平価説 5~10年の長期でみれば為替レートは全ての国の購買力を等しくするように働く。
・金利平衡説 金利差があっても為替レートの変動で最終的には損得は無くなる。
・金利の高い通貨は下落する。通貨が下落すると金利が高くなる。
・金利の低い通貨は上昇する。通貨が上昇すると金利が低くなる。
・危機の伝播経路
国内貯蓄で赤字を補えない → 海外投資家の保有率が上がる
金利上昇 → 住宅ローン破産急増、新規物件の販売低迷、不動産価格の低下、銀行は国債の損と担保としている不動産の毀損。国債保有残高はゆうちょ銀行が150兆、かんぽ生命が80兆。
年金生活者の生活破綻(7割が年金だけで暮らしている) 若年年齢層の失業率上昇、公務員の実質所得の低下。消費税、所得税、社会保障費などの負担増加。単身世帯の減少。
**GMのプラントがフル稼働
GMの北米の17の工場のうち9つの工場が24時間3交代制で稼動している。2008年の危機の際はこの数字は3であった。この53%という数字は2006年の26%の2倍という数字だという。8月の生産台数は年換算で1600万台で2009年時は900万台だった。自動車産業は固定費が大きいがフル稼働するとその分大きく稼ぐことができる。
round-the-clock 24時間体制
tied up 固定されている
**ネタニヤフ、イランに新しい制裁を
イランのネタニヤフ首相はホワイトハウスでオバマ大統領と会談した後に、イランには核問題に関する取り決めの為に新たな制裁が必要だと訴えた。この見解は米議会とも共有されており、イランは核爆弾を作る施設が稼動しているとしている。6カ国とイランの協議は10月15日から開始される。
**ベネズエラ
ベネズエラには問題が山積している。45%を越えるインフレ、トイレットペーパーから電力のブラックアウトまでという様々な不足、脆弱な議会のサポート、世界で最も高い殺人率の国の一つなどである。6.3ボリバルが1ドルとの交換レートだが、ブラックマーケットではその7倍になっている。通貨問題はMaduro首相の大きな課題だが、技術上と政治の上の問題の間でディレンマに陥っている。
**日経平均は28円高の14484円
東証一部の売買代金は1兆9283億円。マザーズは1755億円。消費税増税を発表。