2013/11/23

幸福論(1) アラン 処世術とはなににもましてまず、自分とけんかしないことである。




雨が静かに降る夜などにこの本を手にとって読む。そんな情景が浮かぶような本。語り口はどこまでも柔らかく、それでいて内容は深い。難しいことも柔らかく、優しく書けるのだなと知る。

今年読んだ本の中でも屈指の存在。

体裁としては新聞に寄稿していたものの中から、選び出しそれを本にしたというものになる。こんなコラムが新聞に載っていたら発行部数も伸びそうに思える。そういう欄は今はあるのかどうか。

人間の感情は移るから、不機嫌を表現してはいけないというのは当たり前だけど、改めて納得した次第。また礼儀を情念を抑えるためのものと捉える考え方も面白いところ。

マルクス・アウレーリウスの自省録も非常に本で、これらを結び付けているのがストア派であるというのを知ったのも大きな収穫だった。

手元に置いておく一冊と言えるだろう。

期待がやってくるのは、仕事がはかどって、状況が進展してからである。だからほんとうに、信じることが第一の徳であって、期待することは第二の徳なのだ。

まずは信じてやってみる。その後に期待ややりがいが出てくる。

ゲーテという男は、あらゆる出来事を自分自身のものに仕上げるあの強靭な精神の見事な例である。だれでもゲーテというわけではない。なるほど。でも、だれでも自分自身なのだ。

思わずはっとさせられる一節。ゲーテになれる訳ではないが、ゲーテがゲーテであるように我々のそれぞれが一個の個人である。それを前提とすれば、同じ性向を持つのも大事だろう。結果の大きさは問題ではない。

自分の気分をあらわにしすぎるだけのあの気まぐれな感情に気付かぬふりをするために、絶対必要な礼節の交わりをもたらす。気付かぬふりに注意して欲しい。たんなる衝動的気分など外にあらわさなくなれば、すぐに感じられさえもしなくなる。だから愛しているかぎり、気分よりも礼儀作法の方がより真実な意味がある。制度の方が感情を救ってくれるのだ。

礼儀が心がこもっていないとか、形式上のものと捉えるのではなく、情念を制御するものとして捉えてみる。また情念をそのまま発散すると他人にもその影響がいってしまうので、それを抑える必要があるという点も他を読むと分かる。なるほどと思わされるところだ。


・われわれが情念の開放されるのは思考のはたらきによってではない。むしろからだの運動がわれわれを解放する。

・不安に苛まれている時は、理屈でもって考えようするのはやめたまえ。なぜなら、自分の理屈で自分自身をの方が責め立てられる事になるから。

・ふつうの人の場合、不機嫌を是として、気分どおりにすることを言わば誓う、ある意味でそれを絶対的なものとしてしまう。こうして、自分で一つの性格を作り上げている。高貴な魂をもつ人は、このように偶発的なことなどとりあえず忘れてしまう。偶発的なことは、人のしわざであろうが自分のしわざであろうが、完全にゆるしてしまう。そんなことをあれこれ考えないからだ。

・だれも選択はしなかった。なぜなら、われわれはみんな、最初は子供であるから。誰もみんな選択しなかった。みんな行動したのだ。こうして、職業は天性と環境の結果である。だから、あれこれと考え込んでいる人は決して決めることができない。

・処世術とはなににもましてまず、自分とけんかしないことである。

・臆病な人間は人中で、なんでも聞き取り、なんでも心にとめ、なんでも意味づけようとする。賢者さまざまなしるしや話を刈り込む。

・自分の気分を否定すること、それはまさにものごとを軽々しく信じないことである。反対に自分に甘くなり、印象の前にぬかずくようになるやいなや、世界はわれわれに対して閉ざされたものとなる。ほんとうの人間は、自己を揺り動かし未来を作り出すのである。

・われわれのあやまちは、われわれよりも先に消え去る。

・精力的な人達は、さまざまな相違や多様性を好むことをぼくは知った。

・人間の味方をしてくれるのは人間の営みだけである。

・仕事のとほうもなさと人間の弱さを考えたなら、人は何もできない。したがって、まず行動し、自分のやることだけを考えるべきだ。

・それぞれが気ままに生きることが尊重され、よろこばれているような家族がある。そこでは自分のよろこびが他人の迷惑になりうるとはだれも考えていない。でもそういう人については触れない。それはエゴイストというものである。

・最初の動作がどんなに危険なものかを知っている人間は、自分のしぐさに規律を与え、こうして自分の愛着する感情を保つ。

・自己省察がもしそれだけに終わって自らを奮い起こす力がないならば、それはよくない戯れである。自分に問いかける者は必ず間違った答えを出す。自分だけを考える思弁は退屈するだけである。

・情念の最初の思いつきを克服してすみやかに正義に帰る人、これはもちろん泥棒にできることではない。ほんとうの礼儀正しさとは、何をなすべきかを感覚的に知ることだ。敬意を払うこと、慎み深い態度、正しい行為などはまさに自分のなすべきものだと知る。

・人間は自分からやりたいのだ、外からの力でされるのは欲しない。人は、棚からぼた餅のように落ちてきた幸福はあまり好まない。自分で作った幸福が欲しいのだ。

・仕事というのはすべて、自分が支配者であるかぎりはおもしろいが、支配されるようになると、面白くない。だから賭け事というのは、自負心の強い人間をとりこにする。

・人間がふつう好むのは楽しみではなく、むしろ行動であるのを知らなければならない。

・心配は常に期待を圧倒する

・富には二種類ある。手に入れると座り込んでしまうような富はわれわれを退屈させる。われわれの好む富というのは、更にその次の計画や仕事をもとめる富である。

・美しい絵から得られる楽しみでさせも、自分で絵を描いたり収集したりしなければ、ほんの一時のもので、その楽しみも永くは続かないだろう。ただ判断を下しているだけではだめで、求めて行って自分のものとすることだ。

・やらねばならないことが次から次へと出てきて、一つの収穫が次の収穫を約束すること、これが農夫の幸福である。

・作り出す幸福というのは、想像されないもの、想像できないものなのだ。そのイマージュだけを描くことは出来ない。

**ロンドン地下鉄、週末24時間運行へ

夜間ビジネスの促進と他都市との競争を目指して、2015年から開始する。地下鉄が24時間運行するのはニューヨークを除いてほとんどない。また240の入場券売り場を廃止し5750人のうち750人のネットの人員削減を行う。労働組合は猛烈に反発している。24時間運行が始まるのはCentral,Piccadilly,Charing Cross,Victoria Lineであり、これらで全乗降数の60%を占める。

**日韓の不和とアメリカ

安倍首相とPark大統領は2月に後者が大統領に選出されて以来、一度も公式会談を持っていない。Park大統領がEUに出かける際、北朝鮮へ開かれている事を発言した一方で日本にはまったく乗り気ではなかった。原因は日本の靖国や歴史認識問題である。米国は北アジアでの影響力に影響が出ることを懸念している。韓国はアメリカ産の車の税関チェックを厳しくしているが、それらは主に日本企業がアメリカで生産したものに狙っている。

**中国における日本車

USやEUの去年の販売台数は金融危機前の水準を9%と14%とそれぞれ下回っている。その一方で中国は2倍以上に増え1860万台となっている。日本勢はシェアを落としているが、それは歴史問題や尖閣問題が影響している。それらの問題があった時、トヨタは一時生産を60%まで減らした。しかし地政学的な影響だけではなく、生産能力や工場建設などで戦略ミスがあったと指摘する人もいる。中国市場は15%で拡大しているが、日本勢は横ばいかやや売上を減らしている。