2013/11/06

描かれた戦国の京都 洛中洛外図屏風を読む(2) 朝倉本 東博模本


11月6日から洛中洛外図は後期展示。歴博甲本、福岡市博本、池田本などが展示される。今回は最初と思われる朝倉本と東博模本。

朝倉本

・朝倉本の前提となる絵画は、月次祭礼図である。それを元にして、地理的にも京都の景観を正しく描いて洛中洛外図が作例された。

・朝倉本は左隻が失われているが、推定することは可能だ。右隻と左隻は下記のようになるのではないか。

右隻

1月 正月祭礼 内裏
2月 鶯合わせ 公家屋敷
3月 鶏合わせ
4月 灌仏会の天道花 町屋
5月 印地打 街路
6月 衹園祭 衹園社~下京

左隻

7月 念仏風流
8月 月見
9月 貴船社の子供神輿
10月 紅葉狩り
11月 お火焚き
12月 節季候、門松立てなどの歳末風景

東博模本

・洛中洛外図屏風の制作にはその時々の権力者が深く関わっているから、制作や伝来を考えるには、政治史の理解が不可欠である。細かいことはさておき、ここでは細川政元の死後、高国派と澄元派に分かれて抗争を繰り広げたということを理解する。歴博甲本は高国の絶頂期に書かれたものであり、東博模本は澄元の子供の晴元が政権を奪い返した時代に作られたものである。

・細川氏の館の広場で調馬を見る様子が描かれている。これは軍事力を象徴すると言われている。

・西側が幕府では正門とされていたが、応仁の乱以後、将軍の御所が東向きであることには抵抗がなくなっていたと考えられる。従って今出川御所も東向きであって良い。

・歴博甲本では、細川一族以外は建物に座って肖像画風に描かれることはなかったし、そもそも細川以外の武家は斯波邸と畠山邸を除いて描かれることはなかった。しかし東博模本ではそのような細川絶対主義のような描き方はない。

・東博模本は歴博甲本の構図を踏襲しているが、柳の御所や犬追物は省かれている。このことから高国の世界を意図的に削除していることが解る。

・讃州の館の讃州とは細川氏の支流の阿波細川家のことで、この家が代々讃岐守を名乗った。東博模本の発注者は、細川春元関係者と考えられ、左隻左下は洛中洛外図屏風とは異なり、阿波氏エリアとなっている。

・東博模本は寺社や邸宅の位置や名称など京都の人間ならすぐ気付くようなおかなしな部分があり、発注者は地方の人ではないかと推測されていた。細川氏以外の邸宅でも当主らしき人物が書かれており、晴元の主人公性が弱く、晴元本人が発注者とは考えにくい。また象徴的な描き方は避けて具体的な描き方をしていることも、地方向けであることがわかる。

・牛が牽く車は京都名物で、京都の人間を対象に描いた歴博甲本では、あえて牛を描かずにそこが車屋であり牛がいることを暗示する表現になっていたものが、東博模本ではそのような知識がなくても解るように、牛そのものを描いている。

・この屏風はおそらく京都で描かれ、阿波に運ばれたと考えられる。

・屏風がいつ描かれたという景観年代の問題がある。これについては、描かれた建物から割り出していくのが普通。まだ存在しない建物は基本的に描くことができないから、年代を特定できる建物があれば、それ以降の作品である。

・寺社の造営や消失の記録があれば、それが描かれているか、あるいはないかで年代を詰めていくことができる。

・貼り札の文字は、しかるべき書家に依頼してまとめて書いてもらう。しかし東博模本ではそれを貼る作業において明らかな間違いあり、ちょっと杜撰、無頓着である。

・鴨川では鉄砲を使う人物が描かれているが、鉄砲は最初から戦争の道具だったわけではなく、狩猟に使うところから始まったとされている。

・右隻の第五扇は欠失部分で2月は解らないが、3月にあたる第四扇では、内裏で本来の宮中行事としての鶏あわせが行われている。

・街路で子供たちが二手に分かれて合戦ごっこをしているが、これが印地打と呼ばれる行事である。

・東博模本の作者はどうも祭礼や芸能にはうるさい人物のようである。

・東博模本は京都にいた阿波関係者から注文を受けて、狩野工房に所属する誰かが制作を請け負ったのではないだろうか。杜撰さや悪ふざけのようのな、近衛邸では陰で接吻する男女を描いてもいる、がある東博模本だが、偉大な元信を乗り越えようとして、同じ絵にはすまいという試行錯誤を行っていると見ることもできるかもしれない。

**米の公共投資、過去最低レベルへ

米政府による公共投資の対GDP比率は3.6%であったが、戦後平均は5%であった。学校の建設や高速道路の建設、R&Dへの投資が減少している。R&Dに関しては技術革新は政府支出によるものが多く、今後の成長に影が差すと指摘する向きもいる。

across-the-board 全体に渡って

**プエルトリコ、債券価格下落

成長と歳出削減に向っているにも関わらず債券価格は下落し、10年債の金利は8.8%を超えた。格付けはジャンク債の1つ上にあるに過ぎない。この下落を受けてUBSやCitiはコントロールできるサイズであると声明を出しているが、担保は売っているようである。

**SAC、18億ドルの罰金

ヘッジファンドSACはインサイダー取引を認め18億ドルの罰金を支払う。この罰金は1980年代のミルケンの6億ドルを上回りヘッジファンドに対するものとしては過去最高になる。コーエン氏は刑事罰を逃れたが、SECは今後は他人のお金を運用することを禁止しようとしている。


日経平均終値:14225(+23)
東証一部売買代金:2兆1364億
マザーズ売買代金:1569億
最高値銘柄:
最高値銘柄数:2
最低値銘柄数:13
売買代金上位:日産(-10%) サイバーA ソニー シャープ

S&P終値:1762
S&P売買高:1928770
最高値銘柄:ENDP KORS CVS
最高値銘柄数:114
最低値銘柄数:19
売買代金上位:TSLA ENDP HTZ KORS DDD REGN