2013年11月19日火曜日

劣化国家 ニーアル・ファーガソン(6) 大いなる衰退論からの示唆


最終章では都市発達の便益とはなにか、次に危機は戦争であることを示唆している。

一時期ニューノーマルという言葉がもてはやされたが、戦争は間欠泉的で、平和が長かったということはそれだけエネルギーが充満しているということの裏返しだ。エジプト、シリアで起きている現象は、ただの局所的なもので終わるのか、それとも序章に過ぎないのかは未だに解らない。

いずれにしても歴史に常に見られた、戦争というリスクを個人レベルで意識しておく必要はある。


アメリカの所得上位1%の平均所得は下位99%の30倍だったが、1978年は10倍であった。今日のアメリカは社会はほとんどの指標で1920年代末と同じくらい不公平だ。別の言い方をすると、過去35年間の経済成長がもたらした恩恵の大部分が、超エリート層の手に渡ったということになる。

今日の世界を特徴づける、収斂と分岐の複雑な力学を理解するには、制度史を深く掘り下げる必要がある。

物理学者のジェフリー・ウェストは、都市化のプロセスではインフラにおける規模の経済性と、人間の創造性における規模に関する収穫逓増がともに働くことを示した。規模の経済の弾力性は0.85近辺でほぼ一致した。これは都市の人口が100%増加するごとに、1人当たりのガソリンスタンドの数を85%だけ増やせばよいという意味だ。

系統的にいって、都市の規模が大きいほど、期待できる賃金は高く、教育機関の数は原則として多く、より多くの文化的催しが開かれ、特許がより多く生み出され、より革新的な都市になった。注目すべきはすべてが同程度、1.15倍という共通の弾性値を示したことだ。つまり人口が2倍に増えれば、生産性、特許の数、研究機関の数、賃金が系統的に約15%上昇・増加し、一般的なインフラは系統的に15%節約できる。

本書の議論は、都市化の正味の恩恵が、都市が機能するための制度的枠組みによって条件付けられていることを示唆する。有効な代議政治、ダイナミックな市場経済、法の支配への支持、国家から独立した市民社会、これらが見られる場所では、人口の密集がもたらす便益が費用を上回る。こうした条件が整わないところでは逆の事が当てはまる。しっかりした制度的枠組みの中にある都市ネットワークは、摂動にさらされるとそれに持ちこたえるだけではなく、かえって力を増すような形で進化する。抗脆弱性だ。だが、こうした枠組みに欠ける場所では、都市ネットワークは脆弱で、比較的小さな衝撃で崩壊しかねない。

未知の未知はまさにその性質上、予測不能だ。だが未知の既知はどうか。未知の既知とは歴史が与えてくれるが、ほとんどの人が見向きもしない洞察をいう。

2011年末の調査で、グローバル企業経営者100人に今後3年の急成長市場を行き詰らせかねない主要リスクについて尋ねたところ最も多かったのが、資産価格バブル、政治汚職、所得の不平等、インフレ抑制の失敗の4つだった。だがこうした脅威は見当はずれになるだろう。

いち歴史家として言わせてもらえれば、今日の非西洋世界にとって真のリスクは、革命と戦争だ。革命が起きるのは、食糧価格の高騰と若年層の多い人口、中産階級の隆盛、破壊的なイデオロギー、腐敗した旧態依然の体制、弱体化する国際秩序が組み合わさったときだ。これらの条件は、今日の中東にすべて揃っている。

これほどの規模の革命のあとは、必ずといっていいほど戦争が起きる。人類の歴史には暴力の減少という長期的傾向が見られると楽観的に言われるが、戦争の発生率にはそのようなパターンはみられない。地震と同じで、戦争が起きそうな場所は解っても、いつ勃発するか、どれほどの規模になるかはわからない。

ナポレオン時代の終わりには、イギリスの国家債務はGDPの250%を超えていた。しかしその後のデレバレッジはおそらく有史以来最も成功したものといえ、債務負担は僅か25%にまで縮小した。

インフレーションはデレバレッジにはまったく役に立たなかった。税制規律と市場金利を上回る成長率の相乗効果のおかげで、平時には基礎的財政黒字が続いた。この美しきデレバレッジにも醜い面があった。とくに1820年代半ばと1840年代末には、緊縮財政が社会不安を招いた。

だがこのデレバレッジのプロセスは、第一産業革命の重要な段階である鉄道建設ブームと、大英帝国のほぼ最大限までの拡張と、軌を一にして進行した。技術イノベーションと利益ある地政学的拡張を実現する国は、経済成長を通して借金の山から抜け出せることを、歴史は教えてくれる。

債務負担はGDPの90%という閾値を超えて上昇するとき、はじめて成長率を押しさげることから、借金体質は有害な影響をおよぼし始める前にすでに十分確率されている。

医学の飛躍的進歩は平均寿命の延びをもたらすが、経済効果は正味のマイナスになる。単に扶養が必要な高齢者の数が増えるからだ。

技術の救いの手がやってくる可能性について悲観論なのは単純に歴史的考察に裏付けられている。過去25年間の進歩は、その前の25年間に人類が成し遂げたことと比べれば特段目覚しいものではなかった。そのまた25年前の技術的進歩はさらにめざましかった。

情報の量と速さが増すことはそれ自体よいことではない。知識は必ずしも解決策にはならない。またネットワーク効果はつねに正とは限らない。1930年代には科学技術が大いに進歩したが、大恐慌を終わらせることはできなかった。大恐慌を終わらせるには、世界大戦が必要だった。

2035年までに中東への石油依存から脱却できることに気付いたアメリカは、中東地域での40年にもわたる覇権を急いで終わらせようとしている。

暴力がピークに達するのは、帝国が前進するときではなく、後退する時である。数量経済史学者のピーター・ターチンは次の暴力の不安定のピークは2020年頃アメリカに訪れるだろうと述べている。

劣化国家(1) なぜ西洋は衰退したのか
劣化国家(2) 過剰な公的債務は、世代間の社会契約が破綻していることの症状だ
劣化国家(3) 金融業界の規制と法の執行
劣化国家(4) アメリカは法の支配ではなく、法律家による支配になっている
劣化国家(5) 市民社会と国家
劣化国家(6) 大いなる衰退論からの示唆

**イスラエル、イランへの語気強める

今週水曜日に米国とイランが外交交渉を行う。これに対しイスラエルのNetanyahu首相はCNNのインタビューに応え、イランは制が弱まわると核開発を再開させるとして批判した。首相に近い筋はイスラエルはどこの承認も得ないで、一方的に攻撃することも辞さないとしている。

**ギリシャ、社債発行急増

ギリシャの民間企業はは今年これまで15社が社債が発行し40億ドルの資金を市場から調達し、銀行借入から市場での調達にシフトしている。これはwin-winの関係となっている。銀行はエクスポージャーを低くしたく、企業は低い調達金利を求めているからだ。

**香港に逆風

現在香港は順調だが、いくつかの逆風がみえる。上海のフリートレードゾーン、大気汚染、高騰する賃料、ロンドンやシンガポールとの競争などだ。また地元の優秀な人物も仕事を見つけるのが難しくなっており、中国経済もスローダウンしている。通貨システムもドルペッグという30年前のシステムを採用している。

日経平均終値:15164
東証一部売買代金:2兆4854億
マザーズ売買代金:908億
最高値銘柄:
売買代金上位:ドワンゴ、野村、三井住友、アイフル、楽天

S&P終値:1791
S&P売買高:2007023
最高値銘柄:VJET
売買代金上位:AAPL FB TSLA