2014年4月22日火曜日

金融史の真実(1) 第一期民間資本時代 第一期公有化時代



今日金融が経済に果たす役割は非常に大きいがこれは一朝一夕で出来上がったものではない。その歴史は現代と同じように金融危機と金融技術の発展があった。

本書では『民間と公有化の時代』、『リスク計算』といった切り口から金融の歴史を解説している。

多少の背景知識は必要かも知れないが金融史の概観するには非常に適している。

第一期民間資本時代(12~15世紀)

資本を金融的な形態ではなく『モミダネ』のような穀物までに拡張すれば、ずっと太古の昔まで遡ることになるが、ここで貨幣の形の形態に限るとする。その前提に立てば資本システムの誕生は貨幣経済が生まれた時となる。

この時代は、ヴェネツィア、フィレンツェといった『イタリア諸国家』、羊毛産業で栄えたアントワープなどの『フランドル地方』、バルト海で発展したリューベックやハンブルグなどの『ハンザ同盟』の三極構造といえる。

シャンパーニュの大規模な定期市は南北の欧州を結び、交易決済のための為替手形を発明した。

この時代に現在の銀行の元祖であるバンコが誕生する。絵画の世界におきたルネサンスは明らかに資本市場の副産物である。

リスク計算は『冒険貸借』である。航海に出る船主が船舶や積荷を担保に資金を調達し、無事に帰還すれば元本と利息を払い、遭難すれば借金は帳消しになる金銭消費貸借取引である。これは現代の感覚からすると、高利回りのジャンク債に投資するようなものである。

『海上保険』は冒険貸借から融資の部分を取り除き、リスク・ヘッジ部分だけを残す発明になった。

教会は利子を禁じていたが、実際は行き過ぎた金利を禁じたのであって、一般的な利息は黙認された。

この時代に起きた金融危機は国王が借金を踏み倒すものであった。百年戦争を戦っていたイングランドのエドワード三世は国内調達を行えなかったので海外に資金を求め、これに応じていたのがイタリア商人であった。

しかしエドワード一世の地点で対外債務は王室収入の30倍以上にあたっており、エドワード三世の地点ではもはや支払い不能であった。高金利が禁止された時代にあって、リスクの高い融資に対するプライシングの意識が低下していたのは止むをえないのかもしれない。

この結果、フィレンツェのバルディ家やペルッツィ家が倒産し、その後に現れたのが新興のメディチ家であった。

フランスも王室の収入の70%近くが貨幣発行によるものだった。現代の国家が歳入の多くを国債による借金が占めるのと似ている。中央銀行が存在しなかったので直接貨幣を発行していた。しかし孫のシャルル五世は税を直轄地から全国へと拡大し立て直した。

まとめると、『新興国のデフォルト』、『巨額融資による金融経営破綻』、『金融不安の連鎖』、『新興金融の誕生』、『財政難による貨幣発行』、『財政再建のための増税』といった現象が起きた。つまり金融危機は決して現代のみの現象ではないということである。

第一期公有化時代(15~17世紀)

この時代にはフィレンツェのメディチ家や神聖ローマ帝国のフッガー家、ハンザ同盟のギルドが有名であるが、地中海はトルコに奪われ西回り航路探求への時代へと移っていた。

この大航海時代が資本システムの担い手を『民間から王室』へと変質させる契機となった。代表的なのはコロンブスへの援助で、スペイン王室は利益の90%を得る条件で航海費用を負担した。

リスク計算としては特許会社という法人組織に対する投資の考え方が生まれた。ここで言う特許会社は大航海時代が切り開いた新貿易機会が生み出す富を公的部門と民間部門で山分けするようなものであり、現代風に言えば『官民ファンド』のような組織である。しかし博打的ではあった。

投資形態が合理性を伴うようになったのは1602年のオランダ東インド会社であり、株はアムステルダム証券取引所で売買される株式の第一号になった。この『会社』は政府が主導して設立したものであり、条約の締結権や植民地の経営権、軍事的な交戦権なども有する政府機関であった。投資家も純粋な民間企業ではなく、政府に投資する感覚だったと思われる。

リスク計算では『レバレッジ』が発明され、株式先物や株価オプションの原型が導入され、信用買いや空売りが始まった。重要な点は

・富の蓄積のある場所でバブルが発生しがちなこと

・本来の需要者とは関係の無い人々が参入することでバブルが発生すること

・レバレッジが拡大することでバブルが発生すること

である。チューリップ球根バブルは17世紀の地点でこの全ての特徴を持っていた。

しかしレバレッジは非難されることが多いが、資本システムではレバレッジを前提になりたっていることを忘れてはいけない。企業が設備投資する際は手元の資金だけではできないので借入行ったり社債を発行する。家計でも貯蓄だけで自動車や住宅を買える人は少ないだろう。

問題なのはレバレッジを適正水準に客観的に証明する手立てがないことであり、これは現代まで続く問題である。

なお中央銀行もこの時代に生まれている。危機への対応策として1668年に世界で最初に設立されたスウェーデン国立銀行である。

**ギリシャの国債市場復帰

ギリシャの5年債はアナリストの予想を下回る4.95%で完売した。30億ユーロに対し200億ドルの入札があり600を越える異なる機関からの買いがあった。これを受けヨーロッパの周辺諸国の債券の債券も値上がり利回りは低下した。

**香港を通じて中国本土投資が可能に

中国はこれまで本土の株式市場を閉ざしてきていたが、このたび香港市場と上海市場を連結することを決めた。外国人投資家はこれまでライセンスが必要であったが今後は香港の証券会社を通じて本土投資が可能になる。一方で本土の投資家も香港に上場してある株式にアクセスできるようになる。具体的な点は決まっていないところも多いが、税金がどのようになるかが注目点のようだ。

**日米のTPP交渉は手詰まり状態に

4/24,25にオバマ大統領が訪日するのに先駆け日米交渉が行われたが、日本の5つ神聖な農産物、米、小麦、牛乳、砂糖、肉に関する輸入関税での認識の違いが明らかになった。日本の米農家はOECDによると世界で最も政府に保護されておりその収入半分が助成金だという。これはEUの5倍、米国の10倍になるという。TPPは締結すると世界のGDPの40%を占め、投資や知的財産権なども含む画期的な協定になるとされている。

**オンライン注文の裏側

英Tescoのオンラインショッピングをピッキングする倉庫が紹介されている。労働者は2交代制で午前8時から午後4時までと、午後4時から真夜中まで働く。腕に表示されるリストを元にベルトコンベアーから商品をピックアップする。朝6時30分には55台のトラックが待ち構えており、それらは日中ずっと続く。Tescoによると人間を機械のように扱っているわけではないとし、雇用にも役立っているとしている。しかし未来学者によればこのような非熟練労働は機械にとって代わられるだろうとしているが、労働者は近視眼的なのでそのような事態が訪れるとは考えていないと発言している。

**Big Dateに潜む4つの罠

間違った良い例を過大評価してしまうこと、世界は変わらないという前提であること、全データというがそれもサンプリングバイアスにかかっていること、偽のパターンは本当のパターンを大きく馬割ること。