2014年4月28日月曜日

ソクラテス以前以後(1) イオニア哲学以前とイオニア哲学


■要約

・イオニア自然学(前六世紀以前)の関心領域は現実的な世界のみ。物事は神話で説明された。

・イオニア自然学は『主観』と『対象』を切り離し自然を発見した。思想の道が生まれた。

・イオニア自然学はデモクリトスの原子論によって頂点に達した。

■イオニア自然学以前

知性は行動上の関心に没頭しつづけ、利害を離れた思索を行わなかった時代。実際的目的に転用されるもにだけ注意を引き知性が限定されている。

物事は超自然的なものと理解し、その系譜を作り上げ、見せざる諸力を明確な形姿に固定し、より具体的な実質を付与するのが神話になる。超自然的なものは自然的なものの内部にも外部にも至るところにも存在している。

■イオニア自然学と原子論、唯物論

自然の概念が拡大され、それまで超自然的なものの領域であった所を自らのうちに取り込んだ。対象を主観から完全に切り離し、それを行動上の利害関心を払拭した試行によって思索しうるような精神状態の成立。

前六世紀の理論体系は宇宙生成論の形で提出され、我々が目にする『世界はどのようにして現在ある姿に整えられたのか』『生命はこの秩序の中にどのようにして誕生したのか』という二つの主要な問題に対し解答が与えれた。

答えとして与えられたのは、事物の初期状態からの世界秩序の誕生の物語の歴史である。宇宙生成論は神々の誕生系譜の物語とは切り離され、そういった神々やなんらかの超自然的な力についてはひとことも言及していない。

原子論者は触覚的性質ことそが真の性質だと考え、原子こそが実在の全てであるとした。

デモクリトスの原子は、より大きな物体はそれらへと分解されうるが、それら自体はそれ以上の小さい破片には切り分けられないような微細な物体であり、絶対的に固くて、稠密で、浸透不可能である。

色や味わいといったものは我々の知覚器官の内部に生ずる単なる感覚的印象として処理され、それらは実在的ではないとされた。

物資的実態、すなわち可触的物体が実在的ということに留まらず、それが実在の全てだと宣言するという意味において物質論的、すなわち唯物論的である。

原子論者によれば魂もほかのすべてと同様、原子から成るのだとなる。

知性は利害関心から離れて、直接的な行動の問題に汲々とする人々のあずかり知らぬ思想への大海へと乗り出せると感じた。理性は普遍的な真実を探求し見出したが、生活上の緊急の要件に関しては、役立つかもしれないし、役だ立たないかもしれない。

自然の発見という視点への到達は大変な達成である。

イオニア自然学は紀元前6世紀初頭にタレスとその後継者達によって創始された。その2世紀後、デモクリトスの原子論によってイオニア自然学の発展は頂点に達したが、デモクリトスはソクラテスやプラトンと同時代の人だった。