2014年4月25日金曜日

金融史の真実(3) 第三期民間資本時代 第三期公有化時代


■第三期民間資本時代(1980~2006年の新自由主義時代)

第二次世界大戦後は米国が圧倒的な覇権力で世界経済をリードした。ブレトンウッズ体制やマーシャル・プランの導入は特に西洋諸国の民間経済が米国の政治力の下で復興する他に選択肢がない事を示していた。

しかし米国も1960年代にベトナム戦争で疲弊し、またOPECによる原油価格の大幅引き上げで石油危機が発生した。1970年代の世界はスタグフレーションという新たな症状に悩まされるようになった。ドル不安や成長失速懸念の中で資本システムも動揺を隠しきれなかった。

このような経済動向の潮目を変えていく契機となったのがフリードンの『自由主義経済論』である。スタグフレーションで悩む各国政府に『規制緩和』『マネタリズム』という新たな風を吹き込んだ。それがレーガン、サッチャーの牽引する『新自由主義体制』を生む土壌になっていく。

この民間経済時代をリードしたのは金融業であった。その遠因としては1971年の『金兌換停止』1973年の『固定相場制の終焉』をあげることができる。これにより金融政策は種々の呪縛から解放されることになり、経済政策の大きな転換点となった。

マネーの自由度が高まれば金融機関や金融市場の自由度を高まる要請も高まっていく。英国では1986年に『金融ビックバン』と呼ばれる証券市場の大改革が行われ、売買手数料の自由化、取引所集中義務の撤廃などが導入された。

米国では1970年代から預金金利撤廃の動きが始まり1980年代には銀行と証券の分離を定めたグラス・スティーガル法に関する規制緩和への動きがみられるようになり、1999年に事実上撤廃された。

日本においても1996年に日本版のビックバンと呼ばれる規制改革が行われた。

この期間の世界は『インフレ無き経済成長』の安定化と長期化というムードに包まれた。さらに21世紀に入ると先進国ならずBRICsなどの新興国の企業も市場化の波に乗って急成長を果たしていった。まさに民間経済の大復活である。

この時期のリスク計算の分野では、デリバティブズが挙げられる。オプションやスワップに代表されるこの技術群は自由化された金融市場の大変動の中で生まれるべくして生まれたといえるかもしれない。

誕生の契機となったのは『リスク・ヘッジ』へのニーズである。大雑把に言えば1970年代の為替の自由化、1980年代の米国金利の大変動、1987年のブラックマンデー、1990年以降の不良債権増加といった現象が、それぞれ『為替ヘッジ』『金利ヘッジ』『株価ヘッジ』『信用ヘッジ』といったニーズに対応した。

また銀行ローンの証券化とそれに伴うプライシングも発達した。これは銀行などが保有する多くの住宅ローンを特別目的会社に譲渡し、証券を発行して投資家に販売するものであった。この手法は銀行ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンにも応用され銀行の新たなリスク管理方法として利用されることになった。これは機関投資家にとっては新たなアセット・クラスがもたらされたことを意味した。

金融危機は先進国の銀行から多額の融資を受けた新興国が、米国の引き締め政策への転換に伴い利払い負担が重荷になり、返済不能が累積したものや、二度にわたるS&L危機などがある。

その後もブラックマンデーや日本のバブル、スウェーデンの金融危機、テキーラショック、アジア危機、ITバブルなどが続けざまに起こり、危機発生の周期は次第に短期化していった。

■第三期公有化時代(2007年以降の国有化時代)

2007年のサブプライム・ショックと2008年のリーマン・ショックにより世界の資本システムは再び公有化されることになった。

一言でいえば米国の住宅バブルに沿って投資銀行はバランスシートを拡大し、商業銀行も簿外取引を膨らませ、投資家は高格付けを鵜呑みにしてリスクの高い証券を大量に購入し、金融当局は市場に任せるのが一番として監視を緩めたのである。

リーマン・ショックは金融市場だけでなく実体経済も襲った。GDPで計測すれば本丸の米国よりも、日本やドイツなどに大きなショックを与えることになった。また米国の証券市場に大量投資していた欧州に混乱は飛び火し、銀行などの資金本国回帰の動きを経てユーロ圏では債務問題が表面化し、通貨危機が発生した。

かくして政府や中銀の徹底介入なしに欧米の資本システムは稼動しなくなった。また日本でもデフレ傾向からの脱却ができず長期低迷が続く。それは資本システムの損傷というよりも、第三期の公有化時代という新たな時代を迎えたというべき現象である。

米国は金融機関への公的資金注入、銀行資金調達や銀行預金に対するFDIC保証、住宅金融機能の実質的国有化、MMFへのサポート、保険会社や自動車メーカーへの政府支援といった『米国=市場経済』のイメージを180度覆す政策のオンパレードで、経済の底割れを回避した。

欧州ではユーロ崩壊危機が起こり、日本では『異次元の金融政策』が取られている。先進国はおしなべて金融緩和の迷路に嵌まりこんだままである。

現代では政府がリスク資産の価格を歪めており、リスク計算が上手く働いていない。投資家はリスクに鈍感になっている。しかしリスク計算の重要性や資本システムの柔軟性は強調してもしすぎることはない。2007年以降の公有化時代は、そのリスク計算の進化を妨げ、資本システムの硬直化や市場変動率の急上昇をもたらす危険が伏在しているようにも見える。

**アングロ・アメリカン 南アフリカのプラチナを売却も視野に

相次ぐ賃上げ交渉によりここ三ヶ月南アフリカでのプラチナ生産は滞っている。現在は生産量よりも生産性の方を重視しており、採算性が取れなければ売却することも視野にいれている。仮に鉱山を閉鎖した場合には5000人の失業者が生まれる。

**イスラエル沈黙の理由

Netanyahu首相は率直な物言いをすることで知られている。しかしウクライナ情勢に関しては過激な発言をしていない。米のFOXに出た際も通り一辺倒の発言ですぐに次の話題に移った。イスラエルがウクライナ情勢について沈黙する理由はなんであろうか。1つは1980年代に同じように併合した経験があること、2つにはロシアには多くのユダヤ人がいること、3つ目にはウクライナに対してナチ時代の印象があること。しかし最大の理由はイランとの交渉で米国との間に隔たりが出来ていることだろう。またロシアは東ヨーロッパで影響力を強めていることも理由にある。