2014年7月3日木曜日

良い戦略 悪い戦略 人生における戦略は成り立つのかを考えてみる(1)


本書は本当に頭の良い人が書いていて読んでいて清々しかった。実装レベルまで考慮してこそだよねというところに強い共感を覚える。

1次会の読書会中ならず、2次会の話したりん、さらには3次会でも人を捕まえては話し込んでしまいました。すいません。

しかしそれにしても2次会の話したりんは楽しかった。自分の考えを疑える人、誰が言ったではなく内容で判断できる人、自分が当事者であるという意識がある人と話せるのは本当に楽しい。理系率が高かったのはたぶん気のせい!

■なぜサッカー談義は盛り上がるのか

まず1次会でなるほどなと思ったのはこの話。サッカー談義が盛り上がるのは、勝つという目的がはっきりしていること、複数人からなるチームスポーツであること、変数が多く評価するのが難しい事(正解が出にくい)、自分が当事者ではないこと。こういった要素を挙げることができるのではないかと。

同じようなものは野球や政治、日本の素人アイドル文化などもありそうと。

どうしても仕事では制約が上から降ってくることが多い。なので戦略を考え実施する機会に恵まれないが、こういったものは代替物になっているのかもしれない。

ちなみにW杯の日本代表は『自分達のサッカーをした上で優勝する』のか『優勝する』のどちらが戦略目的なのかがはっきりしなかったと言える。というか前者だったかな。『勝つ』に絶対のフォーカスをすれば自分達のサッカーはあくまで手段だから戦略ではない。

パスサッカーでボールを保持し、勝敗は問わない、だったらギリシア戦はまずまず戦略目標を達したことになるけど。ポゼッション率80%越えたわけだし。

強化委員はパスサッカーを今後も続けることを反省もなく次も決めてしまい、アギーラの名前などを挙げているけどあれなんかは勝ち負けの観点からみると悪い戦略なんでしょうね。

■人生に戦略は適用できるのか

さてここからが本題。人生に戦略は適用できるのか。

この問題の難しい点は評価関数を特定できないこと。未来における自分の価値判断が解らないことに起因する。

企業(株式会社など)は一応目的が営利となる。こういう制限がかかっていれば戦略は立案可能となる。少なくとも理論解は存在することになる。

しかしこれが個人となると、幸せ、経済的安定、情緒的安定、生きがい、自己実現、食、美、などなどどれによって制限をかけて良いか解らなくなる。その上、それらの判断基準は時間が経過するのに連れて変化するのだから始末に終えない。トレードオフ!ジレンマ!

ここで一つ出たのは瞬間瞬間を楽しむのを続けるという案。

これは完全に実施することができればある種の悟りになっているので、成り立ちそうである。一方で死ぬ間際において後悔をすることを許されない。瞬間瞬間だけ、微分的人生を最後までやり遂げる。

気になったのはまず第一に楽しいだけを追い続けるのは可能かという問題と、積み上げるものが無さそうになるのでその点がどうかと。前者で言えば楽しいと感じる心が減退するリスク、後者で言えばやっぱり空しかったと思うリスクがありそうか。

とはいえここには後悔という別の関数をつっこんでいるので、それは考慮しないというかそこは引き受けるということだろうか。

寿命を全うできない場合でもセーフというのは良い点だろう。完全に振り切れるかという実施の難しさが困難が課題か。

ちなみに書いてて思ったけど、ぽっくり死ぬというのは自分で自分の人生を評価しなくて良いという解決方法なのかもしれない。

■考えの方向を変えてみる

自分の価値観が変遷する以上、どこかで見切りをつけて最後はジャンプだよねとなる。

ここでちょっと考えの方向を変えてみる。

○○のように生きたいというのは、○○が達成できないと失敗になる(過程を楽しむも含む)。そこでこれを逆転させて、少なくとも××ではないとしてみる。

こうなるとちょっと世界が広がる。例えば生きるという目的を与えられた時でも、仮に精神的に半分死にかかっていてもまだ死んでいない。従って首肯される。

戦略を○○したいという時に立案できるある種の積極策だと定義するならば、これは消極策ともいえる。制限をかけた場合に戦略が、ある最高点 (あるいは付近)を目指すのに対し、消極策ではある最悪点だけを避ける。

もちろんこれも××ではないを実現する戦略なのだが、積極策の戦略とは持っているニュアンスが違うのが解ると思う。衛生要因とも言えるだろう。

ここまで来てそういうば過去にそんな本を読んだなと思ったが、タイトルは『数学的決断の技術』だった。そこで紹介されているのは

1.期待値基準

膨大に試行した際の平均値を見る方法。

2.MaxMin基準

最悪の事態を想定する方法。

ナイトは確率を割り振れる場合をリスク(risk)と呼び、確率さえわからない場合を不確実性(uncertainty)と呼んで区別したが、この後者の場合にMaxMin基準は妥当性を持つ。

3.最大機会損失最小化基準

未来に生じる後悔を最小化する方法。

滅多に使われないが恋愛などではよく観察できる。

4.MaxMax基準

もっとも上手く行った場合を想定する。

人生を何回もできるなら宝くじには合理性はないが、人生は一回であることを考えるとその劇的さはある種の合理性を持つ。

の四つ。××ではないはこのうちのMaxMin基準になりそう。

1は過去も含めて他人の人生を自分の人生と同列に扱い、その中から妥当な基準を決める感じになるだろうか。3はとにかくやってみる。4はバラ色前提で突き進む感じだろうか。

いずれにしてもどこかで価値判断が混じり、自己言及になるので問題は難しい。

■善く生きることを目的にする

次にソクラテスがあること思い出した。魂の完成を戦略目標とする。この場合は神を善く生きることにスライドさせたと考えて良いだろうか。

これはなかなか強力な考え方かもしれない。基本的には環境の変化にも強そうである。後期ストア派もおおよそこの範疇だろう。

他にも哲学で示されていることがあるんだろうけど、知らないので残念。

『禅とオートバイと修理技術』では正しいではなくて、クオリティではないかと言っていたのもちょっとだけ思い出す。

といことで長くなったので続きはまた明日。