2014/07/01

タックスヘイヴン シンガポール、金融関係の小ネタなど


橘玲は金融技術と小説をミックスした本を書いていて良く読んでいる。実際にやるかは別として、一種のパズル、現実世界の仕組みとしての主権国家の穴を提示してくれる。毎回なるほどなぁと毎回思うが、本になるということはその手法は終わった、あるいは終わりに近づいているのだろうとも。

今回はシンガポールを舞台にミステリー風に仕上がっていると共に、2人の男と1人の女の物語も語られている。ちょっと切ないかもしれない。

ということで、子ネタをまとめてみた。

シンガポール関係

シンガポールのサンズは、単独としては世界最大のカジノ

リー・クアン・ユーは1965年のマレーシアからの独立の際、貧しい島で生きていかなければならなくなった人の事を思ってTV演説で泣いた。そして半世紀で現在の繁栄を勝ち取った。だから明るい独裁国家と揶揄されても、シンガポール人は彼には従う。

リトルインディアがインド系住民の街だとすれば、1kmも離れていないブギスはアラブ系の人々の一大コミュニティ。

シンガポールのランチタイムは12時半から2時にかけて。

ビンタン島のバンヤンツリーは敷地内の好きな場所にテーブルをセットしてくれる。

マレーシアのジョホールバルはシンガポールと国境を接しており、ブギスのバスターミナルから頻繁に直通バスが出ている。

マンダリン・オリエンタルは19世紀末に開業したコロニアルホテルで、作家のサマセット・モームやジョセフ・コンラッドらが定宿にしていた。

シンガポールのナイトサファリは、夜行性の動物達を間近に観る事のできる世界ではじめての専用施設。園内は極力檻を使わず、生垣や水路などを医療して動物たちを自然に近い状態で飼育している。

サンズのレベル63は世界で最も高い位置にあるバー。

金融関係

1億円の札束は約10kg

今も昔も、現金こそがもっとも匿名性の高い決済手段

日本の外資系銀行の決して口外しない秘密は、海外送金は税務署に筒抜けになっていること。『うちに口座を開くのは税務署に口座を開くのと同じ』

米国は、スイス銀行法第47条の『スイスの金融機関はどのような場合でも第三者に顧客情報を開示しない』という条文そのものを認めずに、FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)で米国人の口外口座の情報提供を米国以外の金融機関に義務付けた。

法律家のチェックを受けない書類にサインはしてはいけない

海外の金融機関を通じて個人名義の預金を自分の会社に貸し付けるのは、よくある取引

シンガポールでは金融所得に課税されない法人の設立も容易。この口座を利用する方法として、シンガポール法人に預けた資金を原資として日本の法人に融資する方法がある。これにより、借入金の利子が、日本からシンガポールに合法的に移転できる。もうひとつは日本市場の株式を海外から売買する方法。

powr of attorney(委任状)には2種類ある。フルパワーは銀行外に資金を移動できる権限。リミテッドパワーは銀行内のほかの口座に振り返ることしかできない権限。エージェントは口座名義人が死亡した時に必要といって、口座開設時にこの書類を紛れ込ませておくことがある。フルパワーにサインをしたら何をされても何もいえない。

プライベートバンクに口座を開くような富裕層は、そもそも自ら銀行を訪ねたりしない。シンガポールに来ても担当者がホテルに出向くか、レストランに招待するので、オフィスそのものは質素な所が多い。

2004年の租税特別措置法改正で、贈与者・受贈者がともに5年以上海外に居住していなければ課税対象となることになった。

日本は二重国籍を禁じているから、海外の国籍を取り、その上で海外にある資産を息子に贈与すれば、国外財産を外国人に渡すだけだから贈与税はかからない。最終的にはカナダ人かオーストラリア人になって、日本の居住ビザを取ればいい。外国人で都合が悪ければ結婚をして日本国籍に戻せばいい。

スイスの名門といえども大手には太刀打ちできないので、まともな銀行が相手にしない客で稼ぐしかない。

中国と香港の富裕層21000人以上が海外法人を所有し、2000年以降、最大で4兆ドルの隠し資産が中国から流出した。

その他

セキュリティというのは、もともと第三者が解除できるようになっている

ガサ入れをして何も見つからないと、調査はそこで終了で責任問題になる。

税務署職員は勤続23年で税理士の資格が取れるから、脱税事件で一緒に組んだ検事と国税調査官が、こんどは弁護士と税理士になって、租税回避を指南するようになる。

政治家にとって、1970年代までは公共事業と並ぶ打ち出の小槌が戦後賠償であった。

特捜本部の役割は検察の広報。国策捜査というよりも、PR捜査の方が実態にあっている。

北朝鮮も日本の植民地であったが、国交がないため賠償は行われていない。

ちっぽけな国にODAを出すのは、まがりなりにも主権国家だから。国際捕鯨委員会で一票持っている。

中国系タイ人の中には元首相のタクシンや妹のインラックのようにタイ社会に同化した者も多いが、国民党の人たちの中には、未だに家庭内で中国を話しきたりを守り異国で暮らしている者もいる。

タイの第二の都市のチェンマイは、かつて北タイ一帯を治めたラーンナー・タイ王国の首都で、堀と城壁に囲まれた旧市街と、その周辺に広がる新市街に分かれている。

ヤクザの暴力は見せかけでも、国家の暴力は本物。

自己啓発本は市場が飽和しているので、著者が美人であったり、障害を負っていたり、なにかしらのセールスポイントがないと読者の興味を引かない